多くの民芸運動家が訪れた松本市で、民芸についてあらためて考えるプロジェクト「みんなの民藝(みんげい)-松本から考える『民藝運動』のひろがり」が現在、展開されている。
同プロジェクトは、時代考察や民芸が持つコンセプトを現在性から捉えることで民芸を見つめ直す機会として7月にスタート。講座や公開リサーチ、トークイベントなどを行う「プレ期間」と、3つの展覧会を中心に町歩きや座談会を行う「コア期間」を設ける。プロジェクト企画チームの池田昇太郎さんは「地域の中にある民芸を掘り起こしたい」と話す。
今後は公開リサーチとして、松本民芸館(松本市里山辺)を元館長の宮嶋通江さんが案内する「松本民芸館とそこにあるモノ」(8月23日)、通常は非公開の松本民芸生活館(神田3)を訪問する「松本民芸生活館という場」(9月13日)を行う。いずれも午前と午後の2回。定員は各回10人で、申し込みはウェブで受け付ける。
マツモトアートセンター(大手1)では、2つのトークイベントを企画。キュレーターのロジャー・マクドナルドさんと美術家の遠藤薫さんを迎え、民芸における霊性と革命をテーマにした対談(9月27日)、宮嶋さんと大阪日本民芸館学芸員の小野絢子さんが民芸運動における女性の担い手の紹介を起点に、研究の広がりを語るイベント(10月4日)を開催する。
10月24日~11月8日には、展覧会を市内2カ所で開く。市はかり資料館(中央3)2階では、「松本と民藝-手仕事の流れとその現在」として、職人の仕事道具や手仕事に関する資料を展示。1階では、「古陶磁から読み解く民藝と東アジア」として、日中韓の器物を民芸運動創成期との関わりを含めて紹介する。会期中は、町歩き企画や座談会などもある。
池上邸の蔵(同)では、現在公募している民芸品とエピソードを展示する。対象は市内や周辺地域の在住者で、家具や道具、器など民芸品の写真と、どうやって手に入れたのか、どのように使っていたのかが分かるような300文字程度の文章を添えて応募する。締め切りは8月31日。
「使い手にフィーチャーすることで、民芸運動の広がりが見えてくる。民芸から何を読み解き、何を語り直すことができるのかを、皆さんと一緒に考えることができれば」と池田さん。現在は企画チーム3人を中心に、市内での調査も進めている。「民芸は生活の側にある、きっと身近なもの。気軽に参加してもらえれば」とも。