松本・浅間温泉の「手仕事扱い処GALLERYゆこもり」（松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066）で現在、桑田智香子さんの個展「桑田智香子陶磁展『日々と器』」が開催されている。

「彫り模様」シリーズ

　同ギャラリーでの開催は2008年のグループ展以来で、個人としては今回が初めて。皿やカップなどの食器、茶器、酒器、花器など約250点が並ぶ。作品はいずれも手触りや、さりげない装飾など「使うこと」を意識して作られ、代表作の「彫り模様」シリーズをはじめ、「ピンク」「黒土」「あめ釉（ゆう）」シリーズを展示する。

　「彫り模様」シリーズは、焼き上げる前の表面を器に沿って削った、繊細な彫り模様が特徴的な作品。「ずっと作り続けているシリーズ。ヒビが入るなど失敗も多いが、削ることが好きなので」と桑田さん。最近は刃の大きさをいろいろと試して、模様の変化を楽しんでいるという。

　「ピンク」シリーズは新たな試みとして彫りの装飾を施さず、釉薬を試行錯誤した作品で、淡い桃色ににじんだ模様が柔らかい印象。新作の鉢も用意した。「黒土」シリーズは陶器用の黒い土を使い、表面を削って白い釉薬で仕上げた。「優しく穏やかな雰囲気の器を作りたかった」

　桑田さんは広島県出身。名古屋芸術大学を卒業後、瀬戸市の窯業高校へ進学。卒業後は同市内で独立して制作を始め、陶芸家9年目を迎える。「（同展では）手掛けた作品のほとんどを並べた。この機会に手に取って手触りを楽しんでほしい」と桑田さん。「今後も『日常で使うもの』を大切にした制作活動を続けながら、新しい彫り装飾や新作に挑戦していきたい」とも。

　作品は全て販売する。価格は、小皿＝1,296円～、湯のみ＝2,484円～、抹茶茶わん＝3万2,400円～、水差し＝5万4,000円など。営業時間は10時～18時。木曜・金曜定休。7月27日まで。最終日は桑田さんが在廊予定。