塩尻市の映画館「東座」（塩尻市大門4、TEL 0263-52-0515）が毎月開催している「フロムイースト上映会」が20周年を迎え、12月6日～12日、「シェルブールの雨傘」を記念上映する。

　同館の合木こずえ社長が厳選した1～2作品を毎月紹介する同上映会。1995年12月、同市出身・古厩智之監督の「この窓は君のもの」からスタートし、これまでに262本の作品を上映してきた。

　「シェルブールの雨傘」（1964年）はフランスの名作。語りが一切無いミュージカル作品で、戦争で引き裂かれた男女がそれぞれに幸せを見つけるまでを描く。「大好きなフランス映画で、何か節目にふさわしい作品をと考えた。以前見た人にとっては懐かしく、初めて見る人にとっては新鮮で、どちらも楽しめると思う」と合木さん。反戦の願いと「たとえ何があっても、人間は生きていけるし、人生は続いていく」という思いも込めて選んだという。

　6日には記念特別コンサートとして、松本市のピアニスト・はざまゆかさんによる「フランス映画音楽の調べ」を開く。「パリの街角を思い浮かべるような鍵盤ハーモニカの音色がピッタリだと思ってお願いした」と合木さん。当日は、はざまさんが鍵盤ハーモニカ、同市のピアニスト・井垣里紗さんがピアノを担当する。

　同上映会は、合木さんが17年間暮らした東京から実家に戻って始めたもの。地元の文化醸成や、女性も楽しめるイベントとして企画した。「県内では単館系の作品を見る機会が少なく、残念に感じていた」と合木さん。昼間は興業があるため、レイトショーを中心に、調整がつけばモーニングショーも行っている。

　「20年続けてきて少しずつ認知され、裾野も広がってきたと感じている」と合木さん。当初は一人で訪れる女性はほとんどいなかったが、最近は仕事帰りや一日の家事を終えて立ち寄ってくれる女性客が増えたという。「これからも映画を通じてさまざまな国の文化に触れ、興味の幅を広げてもらえれば」とも。

　上映時間は、10時～、20時30分～。料金は1,000円。記念特別コンサートは6日11時40分～12時20分。入場無料だが、映画を見た人を優先する。