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安曇野のギャラリーで版画三人展-独自の世界観を表現した作品展示

西住恵子さんの作品

西住恵子さんの作品

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 安曇野市の「ギャラリー・シュタイネ」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-5164)で現在、版画作家3人による作品展「プレス機の向こうに…」が開催されている。

ちょっと不気味な世界が描かれた武田あずみさんの作品

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 メンバーは、武田あずみさん、西住恵子さん、科野和子さん。3人は京都造形芸術大学で版画を学んだ同期生で、同店での開催は初めて。

 武田さんは、ストーリー仕立ての作品を出品。「一週間の些事(とある婦人のとどこおる日々)」は、ある女性が書いた月曜日から日曜日までの日記と、その日の様子を描いた作品。毎日が単調に過ぎてゆく女性の顔はいつも青ざめており、不気味な雰囲気を出している。「『人が生み出す物語』を表現することを目指している」と武田さん。「誰かにとってはなんてことない出来事が、ほかの誰かにとっては『不気味』な出来事として存在することもあると思う。そういった、形の定まらない『あれこれ』を抽出することに面白みを感じて制作している」。

 西住さんは、ベニヤ板にボンドや砂、セメントなどの「物」を貼り付け、その「物」の形や表面の質感をかたどる「コラグラフ」という技法を使った作品を制作する。「紙の表面には強い凸凹ができ、平面だけど物質感を感じると思う。人の手で描いたときにはできない、独特の表現ができるところと工程に面白さと魅力を感じた」と西住さん。板にさまざまな「物」を貼り付けるため、プレス機に乗せるときや刷るときは大変な労力を伴うという。

 科野さんは、さまざまな「生命体」を表現。「子どものころから生物に対する興味が強くあった。絵が好きで美術を始めたが、自分の奥底にある生命体としての記憶のようなものに気が付き、モチーフとして集めていた植物や昆虫をつなぎ合わせて、新たな一つの生命体のようなものを表現するようになっていった」(科野さん)。1日1枚は写生しているという科野さん。写生した花と版を重ねたコラージュ作品も展示する。

 「絵と言葉を使った作品を作り続けていきたい。絵本にもできたら」(武田さん)、「自分自身の感情を『物』に託して制作している。これからも『感情の痕跡』を残せたら」(西住さん)、「版画も写生も自分にとって必要な表現手段。両方を組み合わせた作品を作っていきたい」(科野さん)と、今後の制作に意欲を見せる。

 作品は販売も行う。武田さん作品=1万8,000円~、西住さん作品=2万円~、科野さん作品=3万5,000円~。営業時間は10時~18時(最終日は16時まで)。会期中の休業日は7月9日。入場無料。今月10日まで。

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