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松本・大手で柏木辿さん回顧展「不用の美」 サイケデリック追求した700点

「絵を描くのとバンドの即興は似ていて、無欲で気持ちいい方に向かうと、予想外のものができる」と柏木さん

「絵を描くのとバンドの即興は似ていて、無欲で気持ちいい方に向かうと、予想外のものができる」と柏木さん

 松本市在住の絵描き・ミュージシャンの柏木辿(てん)さんの個展「不用の美~柏木辿の全手仕事~」が現在、松本・大手のプロジェクトスペース「OOTE41221」(大手4)で開催されている。

道神面に触発されて作り始めた「おめんこ」

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 柏木さんは美麻村(現大町市)で生まれ育ち、その後京都へ移住。一昨年に戻り、現在は松本市を拠点としている。回顧展となる同展では、およそ700点の作品を展示する。

 自身が「絵描き」を名乗るきっかけとなった「おめんこ」は、2014(平成26)年ごろから制作。同じ美麻村出身の民芸作家、故・宮田嵐村さんが手がけた道神面に触発されて作り始めた。大小さまざまなサイズの作品はサイケデリックで、顔のようにも神様のようにも見える。筑摩の多目的スタジオ「marsmoo(マーズモー)」で制作した巨大な壁画「へきめんこ」のポスターもある。

 ちゃぶ台と座布団を置いた「憩いの間」には、アップサイクルアートプロジェクト「LESS, BUT BETTER」とコラボした作品などを飾る。昨年亡くなったエディトリアルデザイナーの母・早苗さんの肖像画は、今年3月に偲ぶ会として企画した「早苗フェス」のビジュアルとして制作。その後、一昨年亡くなった木工作家の父・圭さんの肖像画も同じテイストで描いた。「リアルな表現は苦手でずっと遠ざかっていたが、早苗さんを描いたことをきっかけに、できるかもと思うようになった」と話す。

 ブラックライトの下で妖しげに光る「勝手にサイケポスター」は、自身が所属するバンド・ウンヌラがライブを行う際に作っているもの。ほかに、ペンや鉛筆で描いたモノクロの漫画「たのしい混沌」も並ぶ。

 幼少時代から絵や音楽が身近にあったという柏木さん。「意識したわけではないが、父と母のやってきたことが自分の中にいつの間にか備わっているのかもしれない」と振り返る。「おめんこ」を描き始めた時に、「無限に描き続けられる」という楽しさを感じたという。「その頃は意味のないもの、意味からずらしたものがかっこいいと思っていたが、最近は引き出しが増えて、意味の有無にとらわれる必要がなくなった」とも。

 早苗さんが長年携わってきた「工芸の五月」に合わせて、回顧展を企画。キュレーションを担当した詩人で古物商の池田昇太郎さんは「一見、独創的な印象を受けるが、作家の自我ではなく、何かに委ねている感じが工芸に通じる。人と人とのつながりの中で自身の中に転がり込んできたものを、手描きにこだわって創作し続ける『ものづくり』の姿勢を感じてもらえれば」と話す。

 作品は一部を除いて販売する。価格は3,000円~。開催時間は12時~18時。5月31日まで。

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