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松本で空間表現展「海辺の町 幽霊の町」 見た人が「何か」起こすきっかけに

「日々の生活の裏に隠されたもうひとつの世界を散策する実験」という空間表現

「日々の生活の裏に隠されたもうひとつの世界を散策する実験」という空間表現

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 アーティスト・塚原拓海さんによる空間表現「海辺の町 幽霊の町」が現在、古書店「books 電線の鳥」(松本市城東1、TEL 0263-50-9907)で開催されている。

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 石や電子部品、本などさまざまな物を組み合わせた作品5点を展示する。「展示物1」は天使の像に真ちゅうの棒などの装置が付けられ、捕らわれているようにも見える。装置の先はCDプレーヤーがあるが音は出ていない。「展示物2」はブラウン管テレビとゲーム機をつなぎ、映像と文字を映し出している。音声は「展示物3」へと送られ、かすかに音が発生している。

 「展示物4」は2つの箱で、鉱物などが配置されている。顕微鏡の空き箱を用いた「展示物5」には、塚原さんが手掛けた詩集が入っていて、手に取って読むことができる。店主の原山聡矢さんは「全体の空間を感じたり、細かいところまで注視したり、見る人それぞれに楽しんでもらえれば」と話す。

 塚原さんは1994(平成6)年、塩尻市生まれ。一昨年、嵯峨美術大学芸術学部造形学科メディアアート分野を卒業し、10月に「awai art center(アワイアートセンター)」(深志3)で個展を開いた。言葉や機械を用いた作品を制作したり、電子楽器ユニット「GENEI」として活動したりしている。

 原山さんが塚原さんを知ったのはライブで、その後、同店で開催するイベントのオープニングアクトを依頼した。今回の展示は、塚原さんの持ち込み企画。「自分の作品はパッと見て印象付けるようなものではない。くつろげる畳の部屋で、時間を掛けてじわじわと感じてもらえれば、見る人にとっても自分にとっても良いと思った」と塚原さん。

 作品は入札制で販売。現金以外でも物品やパフォーマンス、文章、絵画などと引き換えが可能だが、「展示物1」のみ、塚原さんの心境によっては販売しないこともあるという。塚原さんは、卒業制作で自身の作品と交換した日記などを展示した経験があり、「交換することで、相手が何か考えたり、行動したりするきっかけになることがある。それが自分の作品にも影響を与える」と話す。「『この作品が欲しい』ということ自体、ちょっと勇気が必要。何か行動を起こしてもらえればうれしい」とも。

 営業時間は11時~21時(土曜・日曜は17時まで)。入場無料だが喫茶利用が必要。火曜・水曜定休。1月31日まで。

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