サッカー日本代表前監督・岡田武史さん、松本で退任後初講演会

W杯の話から今の日本が置かれている状況まで、幅広い内容の講演会が行われた。

W杯の話から今の日本が置かれている状況まで、幅広い内容の講演会が行われた。

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 サッカー日本代表前監督・岡田武史さんの講演会が9月14日、松本市総合体育館(松本市美須々5)で行われた。主催はテレビ松本ケーブルテレビジョン。

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 同講演会は、岡田さんが日本代表監督退任してから初めて行われた講演会。同社が感謝イベントとしてケーブルテレビ加入者を対象に企画した。岡田さんがかつて所属していた古河電気工業と40年近いビジネスパートナーであることや、岡田さんが選手時代に試合のため何度か松本を訪れ、その試合開催に同社が協力した経緯などから開催が実現した。

 当日は約4,000人が会場に詰めかけた。ユニホーム姿の少年サッカーチームや、日本代表のマフラータオルを持参する人、松本山雅F.C.のユニホームを着ている人など、サッカーファンが多く見られた。岡田さんは日本代表の入場曲をBGMに登場。「岡ちゃーん」とかかる大きな歓声に手を振って応えながら、同社の佐藤浩市社長とともにステージに向かってゆっくりと歩いた。

 岡田さんは、今年開催されたワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で敗戦したパラグアイ戦について、「みんな100%の力を出して戦ってくれた。素晴らしいチームだったので、(勝って)もう1試合戦わせてやりたかった」と語った。帰国した際に、関西空港で4,000人近いサポーターが出迎えてくれたことを振り返り、「本気でベスト4を目指していただけに無念の思いで帰国したが、温かく出迎えてくれたことがとてもありがたかった」とも。2002年の日韓W杯で松本がパラグアイ代表のキャンプ地だったことから「松本ではパラグアイを応援していた人がいたとか…。みんな日本を応援してくれていたと信じています」と話し、会場の笑いを誘った。

 代表メンバーの選出については、「たった一人で全責任を負ってメンバーを決めるのは怖かったが、『この選手を選んだらどう思われるか』『あの選手はどう思うか』など考えないように、無心の状態で決めていた。監督に必要なのは決断力」「誰よりも日本代表のことを考えていたという自信がある。マスコミや世間の批判は気にせず、選手とスタッフに対して自分の気持ちや意思を伝えるようにしていた」と当時の気持ちを明かした。

 方針となるフィロソフィー(哲学)を決め、選手たちに向けて話していたというエピソードも。「『誰かがやってくれるだろう』という思いを持っている人は育たない。先生や上司などに恵まれないなどと言う人がいるが、都合の悪い中で生きていくのが人生」「人は先のことを考える。『ミスしたら…』『負けてしまったら…』などを考えず、今できることに集中することが大事」など、さまざまな例を出して分かりやすく聴衆に語りかけた。

 岡田さんは最後に「苦しいとき、辛いときこそあきらめず投げ出さなければ福が来る」と話し、「いろんなことがあるけれど、本気で挑めば必ず乗り越えられる。落ちるのはもっと高いところへ行くために落ちる。若い人ほど強い気持ちでチャレンジして」と語りかけ、約1時間の講演を締めくくった。

 松本市のサッカーチームに所属しているという木下拓眞さん(13)は「サッカーについてのことや考え方など、とても勉強になった」と笑顔を見せた。

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