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安曇野で「望月桂」凱旋展 「痛快に時代を生き抜いた姿」調査団が発掘

5つの展示室と廊下に作品や資料を展示する

5つの展示室と廊下に作品や資料を展示する

 特別展「望月桂 自由を扶(たす)く人」が現在、安曇野市美術館(安曇野市豊科、TEL 0263-73-5638)で開催されている。

帰郷して描いたという風景画

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 望月桂(1886~1975)は安曇野市明科中川手出身。旧制松本中学校(現松本深志高校)時代に美術と出合い、東京美術学校(現東京芸術大学)に進み、荻原守衛(碌山)に影響を受けた。1916(大正5)年、簡易食堂「へちま」を開業し、社会主義者や文筆家と知り合う。1919(大正8)年、さまざまな領域の表現者や労働運動家が参加して「黒耀会」を結成した。「表現は個人のもので、他人の評価を前提としない」という考えのもと、無審査で誰もが参加できるアンデパンダン展を開くなど、民衆美術運動を提唱して実践。戦後、58歳で帰郷し、農地改革や美術教育に携わった。

 同展は7章構成で、約200点の作品や文書などを展示する。15歳頃に描いた水彩画を後に製版して印刷した作品をはじめ、絵画や回顧録を保管していた蔵や、北アルプスの麓に広がる田園風景の作品も。「へちま」時代を感じさせる一角では、使われていた食器類や店内に置いていた落書き帳のようなものも紹介する。

 画家・藤田嗣治や、思想家・大杉栄と手がけた漫画雑誌のほか、死刑囚への追悼コラージュ「死の宣告」、獄中死した仲間の遺灰を庭にまき、育てた花を押し花にした鎮魂のメールアート「あの世からの花」といった、硬軟織り交ぜた懐深い作品が並ぶ。68歳から78歳までは松本松南高校で美術科講師を務め、民衆芸術論に沿った独自の自由な美術教育を実践。生徒や卒業生と写生旅行に出かけて描いたという風景画も数多くある。

 2022年、美術・文学・社会運動などの研究者、アーティスト、デザイナーなどが「望月桂調査団」を組織し、資料調査を開始。研究の成果の一つとして昨年、「原爆の図丸木美術館」(埼玉県東松山市)で展覧会を開いた。今回は「凱旋(がいせん)展」と位置づけ、現在も続く調査の中で見つかった作品も追加。調査団団長で二松学舎大学准教授・足立元さんは「望月は、美術やアートと言った枠を超えて、先の見えない時代を痛快に生き抜こうとした。今の時代にも通じるところも多い」と話す。

 ヘチマのモチーフに入れ込んだロゴや、「へちま」時代の落書きが添田唖蝉坊の「わからない節」を歌うアニメーションなど、調査団として参加するアーティストが制作したユーモアある作品も。同館学芸員の荒川瞳さんは「調査団、地元美術館など、多彩な分野の人々が携わったからこそ望月の魅力が引き出せた。地元の皆さんにも見てもらえれば」と呼びかける。

 開館時間は9時~17時。入館料は、大人=520円、大学・高校生=310円。月曜休館(7月20日は開館、21日は閉館)。8月30日まで。7月11日にはシンポジウム、8月1日にはトークイベントを行う。

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