学校法人西軽井沢学園(長野県北佐久郡御代田町塩野3180-558)は2026年7月、JICAが実施する事業の一環として、デジタルテクノロジーと応用行動分析学を活用した先端的な教育実践を行う学校としてウクライナ政府に選定され、政府高官訪問団および医師団による公式視察を受け入れました。
訪問団は、ウクライナ教育科学省の副大臣をはじめ、JICA職員、デロイトトーマツ担当者など約20名で構成され、午前中にサムエル幼稚園(長野県御代田町)、午後にさやか星小学校(長野県佐久市)を視察しました。
両校では、園児・児童が制作したウクライナ国旗や国章の作品、歓迎メッセージボードなどで訪問団を迎えました。
その後、授業参観を通して、一人ひとりの特性や学習状況に応じた「パーソナライズ学習」、応用行動分析学(Applied Behavior Analysis:ABA)とデジタルテクノロジーを融合した教育実践について紹介し、教育成果を実際のデータを交えながら説明しました。

ウクライナ政府訪問団を迎えたさやか星小学校の児童と教職員
■ウクライナ政府が注目した「パーソナライズ学習」―全校児童一人ひとりに個別プログラムを提供
さやか星小学校では、すべての児童が同じ内容を一律に学ぶ従来型教育ではなく、一人ひとりの理解度や習熟度、得意・不得意に応じて学習内容や進度を調整する「パーソナライズ学習」を実践しています。
デジタル技術を活用して学習データを蓄積・分析し、その日の学習内容や課題を個別に最適化することで、それぞれの児童が自分のペースで着実に学力を伸ばせる環境を整えています。
訪問団は、この教育モデルについて、多様な背景をもつ子どもたちへの教育支援だけでなく、戦禍によって学習機会を失った子どもたちの教育再建にも応用できる可能性があるとして、高い関心を示しました。

サムエル幼稚園での視察
■行動分析学とDXで実現するインクルーシブ教育 学校法人西軽井沢学園では、教育の基盤として応用行動分析学を取り入れ、学校全体で行うポジティブ行動支援(School-wide Positive Behavior Supports:SWPBS)を実践しています。児童の「できないこと」に着目するのではなく、「できること」を着実に増やすことを重視し、エビデンスに基づく教育を実践するとともに、授業の質を継続的に改善しています。
また、DXを活用して日々の学習や行動を客観的にデータ化し、一人ひとりに最適化された支援を提供しています。その結果、学習が苦手な児童は自ら学ぶ姿勢を身につけ、学習が得意な児童は学年を超えた学習へ進むなど、すべての児童が自分に合ったペースで成長しています。
この教育システムにより、「落ちこぼれ」や 「浮きこぼし」を生まない教育を実現するとともに多様な子どもたちがともに学び成長できる真のインクルーシブ教育を目指しています。
奥田健次理事長は訪問団に対し、次のように述べました。
「ニーズがあれば、戦争による難民や避難民を、さやか星小学校でもサムエル幼稚園でも喜んで受け入れます。教育は日本語で行うことになりますが、本校のパーソナライズ学習は、日本語を母語としない子どもにも有効だと考えています。」

サムエル幼稚園で園児にウクライナの紹介をする訪問団
■不登校ゼロを支える教育システム さやか星小学校とサムエル幼稚園では、開校・開園以来、不登校(長期欠席)児童ゼロを継続しています。
その背景について、奥田理事長は「日本では3歳児の6割がネット利用を経験してしまっています。そんな中、サムエル幼稚園、さやか星小学校では、家庭でのネット接続は物理的に完全デトックスしており、まったく使えません。その分、学校では教師管理の下、存分にiPadなどが使用できる環境です。これだけでも、不登校やひきこもり、ネット依存やゲーム依存のリスクを大幅に減らすことができます」と話しました。
ウクライナ政府の教育・科学省コノヴァロワ副大臣は「ウクライナでは、3歳児の45%がネット接続できる何らかのガジェットが親から与えられている状況にあり、憂慮しています」と話しました。
また、さやか星小学校独自の「いじめ防止3Rプログラム」や、SWPBSを用いた教育活動全体を通して、安心・安全な学校風土にするための環境設計について、教職員向けの職場研修と保護者向けの研修会が定期的に開催されています。
今回の視察では、こうした教育システムや教育成果についても紹介し、多くの質問や意見交換が行われました。
■子どもたちによる歓迎セレモニー 視察当日は、園児・児童がウクライナ国旗や国章を描いた作品、歓迎メッセージボードなどを制作し、訪問団を歓迎しました。
サムエル幼稚園では英語と手話での讃美歌を披露し、さやか星小学校では校歌と練習中の合唱曲を披露しました。
教育を通じた国際交流の機会となり、コノヴァロワ副大臣はサムエル幼稚園の園児に対し「ウクライナは美しい国です。今、ウクライナの幼稚園はミサイルが飛んでくるので、毎日地下で園生活をしています。戦争が終わったら、遊びに来てください」とのメッセージをいただきました。
クズミチョワ副大臣は、さやか星小学校の視察を終えて「全校児童にそれぞれ個別のプログラムを用意していることに感動しました。開校2年で独自のデジタル教材を400種類も作成されたことにも驚きました」とコメントしました。
さらに、訪問団のうちの医師は「発達ニーズがある子どもにはもちろんのこと、いわゆる定型発達の子どもにも個別教育プログラムを作っているという取り組みを初めて見ました」とコメントしました。

訪問団を迎えるさやか星小学校の6年生
また、ウクライナ政府の保健省担当課長は、「このように日本の子どもたちから歓迎され、とても勇気づけられました。」とコメントしました。
今回の国際交流を体験したさやか星小学校の高学年児童は「遠くの国から日本にきてくれて、さやか星小学校をえらんでくれて、ありがとうございます。戦争が終わったらウクライナの子どもたちといっしょに遊びたいです。いっしょにウクライナの小麦でケーキづくりもしたいです。戦争がはやく終わって平和になりますように。」とのコメントを残しました。

奥田健次理事長と訪問団
■学校法人西軽井沢学園について 学校法人西軽井沢学園は、長野県御代田町で「サムエル幼稚園」、長野県佐久市で「さやか星小学校」を運営しています。
行動分析学に基づく教育を基盤に、デジタルテクノロジーを活用した個別最適な学習支援、インクルーシブ教育、不登校予防、いじめ防止プログラムなど、科学的根拠に基づく教育実践を進めています。
国内外から教育関係者や研究者、行政機関による視察も受け入れ、日本の新しい教育モデルの世界に向けた発信に取り組んでいます。昨年は、国際行動分析学会元会長のジャネット・トゥワイマン博士が幼稚園と小学校の両方を視察訪問され、世界的にもいくつかの初めての挑戦とその成果について高い評価をいただきました。


さやか星小学校では、行動分析学とデジタルテクノロジーを活用した「パーソナライズ学習」により、自ら学び、自ら考え、他者を尊重する力を育てています。開校して2年で、独自のデジタル教材「デジロク」は400種類を超えました。現時点での成果としては、たとえば算数科では開校1年目(2024年)6月の段階で、第1学年では公立学校よりも約1か月先の単元まで進みました。開校2年目(2025年)6月の段階で、第1学年の算数では、約2か月先の単元まで進みました。
また、学力向上に資する個別最適化教育だけでなく、複雑さと不透明さのある現代社会において、多様な環境下で迅速に結果を出すためのソフトスキルを意識した教育も、行動分析学を用いたカリキュラムで提供しています。それらは、論理的な思考力、自分や相手を尊重しながら自分の意見を率直に伝えるアサーション能力、複雑な問題を構造化し解決策を導く問題解決能力、自己管理能力(自律)、国際理解力、仲間と協働するためのコミュニケーション能力、対人スキル、社会スキル、適応力・柔軟性、ユーモアのセンス、予期せぬトラブルが生じた際の変化適応能力などです。
さやか星小学校では、これらの能力やスキルについても行動分析学を用いて実装することができています。そして、これらの実装されたプログラムはデータを測定しながら継続的改善を行なっています。
学校法人西軽井沢学園は、長野県御代田町で「サムエル幼稚園」、長野県佐久市で「さやか星小学校」を運営しています。
■新入園児、新入学・転学児童を募集します
学校法人西軽井沢学園では、2027年度の新入園児および新入学・転学児童を9月から募集開始します。
次回の学校説明会は、9月23日にサムエル幼稚園にて開催します。また、無料の「子育てQ&A」という講演会も参加者を募集しています。詳しくは、サムエル幼稚園、さやか星小学校のホームページや各SNS、奥田健次理事長のインスタグラムなどをご覧ください。お問い合わせもお待ちしています。

ウクライナ政府訪問団を迎えたサムエル幼稚園園児と教職員