道祖神をモチーフにした「道神面」-松本の喫茶店で作品展

展示されている中で最も大きいサイズの道神面「ひらく」。スピーカーと比べてもかなり大きい。

展示されている中で最も大きいサイズの道神面「ひらく」。スピーカーと比べてもかなり大きい。

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 松本市の瑞松寺(ずいしょうじ)境内にある喫茶店「半杓亭(はんしゃくてい)」(松本市中央3、TEL 0263-33-6187)で現在、道神面作家・宮田嵐村(らんそん)さんの作品展が開催されている。

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 道神面とは、悪霊や疫病などを防ぐ神様として峠や辻・村境などの道端に祭られている「道祖神」をモチーフにした木彫りや張り子の面。宮田さんが1954(昭和31)年に、それまでの道祖神研究を踏まえ、家内に持ち込める民俗玩具として創作を始めた。1976(昭和51)年には松本伝統庶民工芸協会によって伝統工芸品に認定され、宮田さんは1985年に県の卓越技能功労賞を受賞している。

 「以前見た道神面をもう一度、もっと多くの人に知ってもらいたい」と松本市の会社員・相沢和典さんが企画した。道神面への思いは強く、今回、工房で紙製のものを作らせてもらったという。宮田さんは現在88歳と高齢のため、自身では制作を行っておらず、作品展としても10年ぶりの開催となった。

 店内には木彫りと紙製の道神面、合わせて約60点を展示する。大きさは、手のひらほどのものから、最も大きい60センチほどのまでさまざま。暦に記載される日時・方位などの吉凶や運勢を表す暦注の一つ「十二直」になぞらえて制作、「ひらく(=攻めは最良、話し合いは後に)」、「みつ(=満つほどに深く愛は保たれよ)」など、それぞれの意味からイメージした表情豊かな面が並ぶ。

 「工芸の五月」の開催時期と重なった同展。「『工芸』というと、なんとなく洗練された、おしゃれな感じのイメージがあるが…こういった『泥くさい』ものもいいのでは」と店長の高石さん。「初めて見るけど面白い」という若い人もいれば、「懐かしい」と遠方から見に来る人もいるという。「私も初めて知ったが、とてもユニークで、明るくて…これが埋もれたままなのはもったいない。多くの人に知ってもらえれば」(高石さん)。

 営業時間は11時~19時。木曜定休。入場無料。6月26日まで。

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