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松本の古書店、民芸作家・丸山太郎さんの本を復刻-昔の松本の暮らしつづる

「書肆秋櫻舎(しょししゅうおうしゃ)」店主の栁澤孝夫さんと復刻版の「松本そだち」

「書肆秋櫻舎(しょししゅうおうしゃ)」店主の栁澤孝夫さんと復刻版の「松本そだち」

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 松本の古書店「書肆秋櫻舎(しょししゅうおうしゃ)」(松本市中央3、TEL 0263-36-3873)が5月20日、「松本民芸館」(里山辺)の創館者で民芸作家の丸山太郎さんの著書「松本そだち」の復刻版を出版した。

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 同書は、1976(昭和51)年に発行された「松本そだち」の内容に、1946(昭和21)年~1951(昭和26)年に丸山さんが表紙絵を手掛けた川柳誌「川柳しなの」に掲載された木版画と解説文を加えたもの。ほかに、松本在住の料理・雑貨スタイリストの伊藤まさこさんや、松本市立博物館館長・窪田雅之さん、同書の編集を手掛けた同店店主の栁澤孝夫さんの解説やあとがきも載せる。外箱も復刻した。

 同書では、元旦から大みそかまでの松本の行事や、丸山さんの暮らしの様子、自然や民芸に対する思いがつづられている。要所には民芸品や風景など、丸山さんの挿絵が入る。当時、活気のない中町について「中町しか持たぬ特性、それは土蔵造りの商家を生かすよりほかない」と、全体の造りを土蔵造りに改造するべきと指摘する場面も。現在の中町は土蔵造りを生かした街並みをつくり上げており、丸山さんの思う「中町」になっている。

 木版画は67号分を掲載。栁澤さんが高解像度のスキャナーで一つひとつ読み込み、パソコンで色彩調整を行い、色鮮やかなものへと再現した。節分や七夕など季節的なもの、あめ売りやサーカス団などの人物を描いたものなどさまざまで、「帳面屋」「きせる屋」など現代では見られなくなった店の看板を描いたものも。

 栁澤さんは「住民に松本をもっと好きになってもらいたい」「昔の松本の様子を残したい」という思いから、縄手通りの歴史や様子をまとめた「松本縄手繁昌記」や、松本で発行された絵はがきをまとめた「信州松本絵葉書集成」などを発行してきた。「(今回の復刻は)丸山さんの『川柳しなの』の仕事を知ってもらいたくて始めた。あらためて読み返しているうちに新たな発見もあった」(栁澤さん)。

 「丸山さんはもともと親交があったが、当時は存在が近すぎてあまり民芸の話などをしなかった。今ではいろんなことを聞いておけばよかったと思う」と栁澤さんは悔しそうに笑う。「この本には、丸山さんを通じた『松本の生活』そのものが凝縮されている。ぜひ読んでほしい」とも。

 A5版、310ページ。価格は3,675円。同店のほか、市内の博物館関係で販売する。同店で購入の場合は送料無料で配送も可。問い合わせは同店まで。

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