「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」閉幕-各所で音楽の楽しさ伝える

今年の「温ったか出前コンサート」での模様 ©ほそがや博信

今年の「温ったか出前コンサート」での模様 ©ほそがや博信

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 「サイトウ・キネン・フェスティバル松本(SKF)」が9月9日、オーケストラ・コンサートBプログラムもって閉幕、2008年の全てのプログラムを終了した。

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 今年は8月13日から28日間、オーケストラ、オペラなど全13公演を行い、延べ1万7,300人の観客を集めた。期間中にはプログラム以外にもさまざまな場所で、音楽の「楽しさ」を伝える活動が行われた。

 初回のSKFから行われている「子どものための音楽会」は県内の小学6年生を対象に、松本と長野で計8回行われ、295校、約16,500人の児童が参加。ベートーベンの「運命」を演奏したほか、オーケストラで使われる楽器の紹介が、「サザエさん」や「ドラゴンクエスト」など子どもたちになじみのある曲を使って行われた。中学1年生を対象とした「青少年のためのオペラ」では4公演で71校、約6,400人の生徒がロッシーニの「セビリャの理髪師」の抜粋版を鑑賞。オペラの楽しみ方を学んだ。これらの活動は、子どもたちへの情操教育の一環とともに、若手演奏者の育成として、小澤さんが2000年に開始した「小澤征爾音楽塾」で学ぶ演奏者などが参加している。

 今年で11回目となった「温ったか出前コンサート」では、「子どものための音楽会」のメンバー有志と、オペラのカバーキャスト(代役)有志が参加し、松本市内の介護老人福祉施設、身体障害者施設などを訪問してミニコンサートを行った。普段コンサート会場に来られない人たちに対し、なじみのある童謡や唱歌をオペラのメンバーが声楽で披露した。また、市内小中学校の吹奏楽部員らを対象に行われている「管楽器等クリニック」では、メンバーがフルートやトランペット、トロンボーンなどのメンテナンスや基本的な演奏方法を指導。実践的なアドバイスを行った。

 期間中にはSKFを歓迎する「Welcomeストリートライブ」や、1993年のSKFでオペラに出演した児童合唱団を母体にした「SKジュニア松本合唱団」と姫路市児童合唱団との歓迎演奏会、市民による街角コンサートなど、さまざまな音楽イベントも行われた。SKFを応援する商店街や店舗が行う「勝手に協賛企画」も参加数が増え、観客向けのサービスや割引を行うほか、オペラのプロデューサーを招いて観劇の予習ための講演会を開くなど、関連企画が増えている。SKF実行委員会では「昨年あたりから自発的に皆さんが始めたことに、事務局が協力していくかたちになってきた。そうした流れができてきたのは事務局としてもうれしいこと」と話す。

 リピーターの観客が多いSKFでは、新商品の売れ行きがよく、楽譜入れとなるスコアバッグ(1,800円)は完売。また4種類作ったオリジナル手ぬぐいも3種が完売。スタッフがオペラをイメージして木ときつねをデザインしたTシャツもサイズにより完売したほか、リバーシブルのトートバッグ(3,000円)などバッグ類の売れ行きがよく、「(次回からも)バッグ類を充実させていきたい」(実行委員会)と話している。

 2009年のSKFは8月17日~9月8日の23日間、ブリテン・ベンジャミンの声楽「戦争レクイエム」、オーケストラ・コンサートなど13公演と、「子どものための音楽会」「青少年のためのオペラ」などを予定している。

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