松本で「クラフトピクニック」-ものづくりの過程と思いを見せて伝える

木っ端を使った「こっぱこうさく」は大人も子どもも熱心に工作。

木っ端を使った「こっぱこうさく」は大人も子どもも熱心に工作。

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 NPO法人松本クラフト推進協会が主催する野外展示イベント「クラフトピクニック」が10月17日・18日、松本・あがたの森公園(松本市県3)で開催され、実演やワークショップなどを通じた出展者と来場者との交流が会場各所で行われた。

手伝ってもらいながらも熱心にものづくりに取り組む子どもの姿も

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 木工、染織、陶磁器、金属、ガラスなどさまざまな分野のクラフト作家約80組が「ものづくりの実演」や「ワークショップ(制作体験)」をメーンに出展。木工のスプーン作りやいすの座編み、エアバーナーを使ったとんぼ玉作りなどのワークショップや、鍛冶(かじ)の実演を行った。同園の芝生の広場を取り囲むように並んだテント内では、木っ端を使った工作に没頭する子どもたちや、熱心に木のスプーンを削る親子、カラフルな糸を用いて指でシュシュを編む若い女性、スピンドルを使って糸が紡がれていく様子を見ながら質問をする来場者の姿が見られた。

 革製品を扱う「kurosawa」(東京都足立区)の黒澤洋行さんは初めての出展。革の小さなバック作りのワークショップを開催、2日間で40人ほどが参加した。あらかじめパーツごとに切り出した革を用い、ロウ引きした糸を使って縫っていく。およそ2時間かかるワークショップだが、希望者が多くてすべてを受け入れることができなかったという。「作りながらいろいろな人と話すことができてよかった。来場者だけでなく、他の出展者とも話すことができた」と妻の由美子さん。参加者からは「陶芸や木工はなんとなくイメージができるが、革製品をどうやって作っているのかはよくわからなかった。自分で作ると、その過程がよくわかって楽しい」「時間はかかったが、途中でいろいろアドバイスをしてもらったので何とか出来上がった。自分で作れたことがうれしい」などの声が。

 「家族連れも多く、ゆったり楽しんでくれている。子どもの目が本当に輝いている」と同実行委員の倉澤聡さん。初日は夕方からあいにくの雨となったが、日曜日は終日おだやかな天候に恵まれた。「ピクニックは、ものを作る人の心に触れられる場。作家さんと話をしたり、実際に体験したりすることで、これから日常で使うものを選ぶ目が変わっていくきっかけになれば」と話す。

 同イベントは今年で8回目。毎年5月に行われる「クラフトフェアまつもと」の姉妹イベントとして2002年にスタートした。実行委員長の谷口泉さんは「『売ること』が目的ではない。ものづくりの現場を知ってもらい、伝えていくことが目的」と話す。「大切なのは『つくり手』と『つかい手』の関係。今は『生産者』と『消費者』という縦の関係になってしまっているが本来は横の関係。それを再現したい」と谷口さん。出展者も来場者も年々増加傾向にあるが、「来る人も、出展する人も同じ気持ちでいられたら。そんなイベントでいられるよう、ゆっくり進めていきたい」と今後の展望を語る。

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