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松本で草間彌生さんトークイベント-詩の朗読や涙ながらに語るシーンも

スライドを見ながら解説する草間彌生さん

スライドを見ながら解説する草間彌生さん

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 松本市美術館(松本市中央4、TEL 0263-39-7400)で10月20日、松本出身の前衛芸術家・草間彌生さんのトークイベント「草間彌生が語るYAYOI KUSAMA」が開催された。

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 同館で開催中の「草間彌生 永遠の永遠の永遠」に合わせ、同館学芸員・渋田見彰さんとの対談形式で行われた同イベント。草間さんが会期中に訪れるのは7月28日以来2回目。1000人を超える応募者の中から選ばれた約100人が会場を埋めた。

 車いすで草間さんが登場すると、会場外からも大きな拍手が。「渋田見さんの支えがあったから成り立った展示。何度も東京に足を運んでくれた」と感謝の言葉を述べ、「松本は永遠のふるさと。生涯掛けて松本を愛していく」と話すと、会場からは一層大きな拍手が起こった。

 イベントは、スライドを見て解説したり、当時の思い出を語ったりしながら進行。ルイ・ヴィトンとのコラボレーションで、ショーウインドーに草間さんそっくりの人形が展示されている写真の紹介では、ツーショット写真を見て渋田見さんが「奥が人形で、手前が(草間)先生ですよね」と念を押し、会場の笑いを誘った。現在同館でも展示中の10メートルある「ヤヨイちゃん」について渋田見さんが「今展示してある場所が10メートル30センチ。本当にちょうどなんです」と話すと、「おー」と声が上がる一幕も。草間さんの説明に熱が帯び、「先生、スライドが追いつきません」と渋田見さんが困った声を上げると会場から笑いが起こるなど、和やかな雰囲気の中、解説が続いた。

 草間さんの松本時代の写真も紹介。自殺未遂を繰り返した日々のことや、母親から受けたつらい仕打ちの話をするうちに、草間さんの目には涙が。「皆さんの前でボロを出しちゃって…ごめんなさいね」と話し、「そんな私が故郷でこんな大きな展示をできると思わなかった。人生で最高のときだと思う。本当に感謝している」と礼を述べた。大粒の涙をこぼしながら、父母に向けた詩を、メロディーを付けて朗読する場面も。何度も謝る草間さんに渋田見さんが「こんなに感情的な先生の姿を拝見できることはなかなかありませんから」と優しく声を掛けた。

 会場との質疑応答では、「好きな食べ物は」という質問に「描くことに熱中して食べることを忘れてしまう。味より絵の方が大切」と、芸術に対しての熱い思いを語った。最後に「皆さんと会わせてくれた渋田見さん、ありがとう」とあいさつ。「また松本で展覧会をしたい。本当にありがとう」と両手で顔を覆いながら涙し、深く頭を下げると、会場からは大きく長い拍手が起こった。

 開館時間は9時~17時(入場は16時30分まで)。入場料は、大人=1,000円、大学生、高校生、70歳以上の松本市民=600円、中学生以下は無料。月曜休館。同展は11月4日まで。

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