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松本の高校教師が丸山太郎さんの本を出版-民芸の魅力伝える

竹下さん手彫りの木版画が飾る、ぬくもりのある表紙

竹下さん手彫りの木版画が飾る、ぬくもりのある表紙

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 松本工業高校美術教諭の竹下賢一さん(60)が4月、松本民芸館(松本市里山辺)の創設者・丸山太郎さんや民芸についてまとめた本「丸山太郎 美しいものが美しい」を自費出版した。

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 同書は、丸山さんの生い立ちや松本民芸館について、丸山さんの民芸コレクションとそれを求める熱意などを写真や絵を添えて、わかりやすく伝えている。表紙には、手すきの和紙に竹下さんが彫った木版画で、穏やかにほほ笑む丸山さんをデザインした。「今回の出版にあたってさまざまな文献を参考にしたが、じかに丸山さんについての話を聞くことがなかなかできず苦労した。完成までに4年を費やした」と竹下さん。出版は丸山さんの命日である4月5日に合わせた。「今年で定年退職するので、その記念に敬愛する丸山さんについての本を出版したかった」

 竹下さんは上田市出身。25歳で初めて松本民芸館に足を運んだのがきっかけで民芸について学ぶようになったという。「初めて松本民芸館に行ったときは、建物の美しさにも強く引かれた」と当時を振り返る。「無名の職人が作り出した民芸品が美しいのは、職人個人の力でなく、用途や材料や伝統が職人を助けて生まれたものだからだと思う」

 授業で竹下さんは、柳宗悦のDVDを見せたり、機能的なスプーンとはどういったものかを知ってもらうために木のスプーンを作ったりするなど、「手仕事」を感じてもらう内容のものも交えているという。「便利な世の中になり、鉛筆をナイフで削ったり、リンゴとナイフがあっても面倒がって食べなかったりする若者が増えているという。美術品だけでなく、そういった生活の部分でも『手作業』というものが減っているように感じる」と話す。

 「『物』の奥にある、職人の仕事や、使い手の心も美しくあってこその民芸だと思う」と竹下さん。「民芸のシンプルな美を感じ、日常に民芸のある静かな生活を送ってもらえれば」とも。

 A5判、47ページ。限定300部。価格は1,000円。松本民芸館やはかり資料館(中央3)などで扱っている。問い合わせは竹下さん(TEL 0263-27-1069)まで。

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