安曇野の絵本美術館で所蔵原画展-宮沢賢治作品の挿絵多数

宮沢賢治作品「雨ニモマケズ」の版画原画

宮沢賢治作品「雨ニモマケズ」の版画原画

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 安曇野市の絵本美術館&コテージ「森のおうち」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-5670)で現在、「森のおうち所蔵原画展」が開催されている。

バーナデット・ワッツさんによる「マッチ売りの少女」の原画

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 同展では「マッチ売りの少女」や「くつやのマルチン」をはじめ、宮沢賢治の代表作「どんぐりと山猫」「貝の日」「雨ニモマケズ」の原画を展示する。作品数は約70点。

 1階展示室にはイギリスの女流作家、バーナデット・ワッツさんによる5作品19点を展示。「ワッツの作品はブルーが鮮やか。その中に温かくて柔らかいオレンジ色が全体を引き締めている」と館長の酒井倫子さん。1994年4月の開館当初からあるという「マッチ売りの少女」の原画は酒井さんの思い出の品でもあるという。「どうしてもこの原画が欲しかったがまとまったお金がなくて…。でも美術館の設計者であり施工者である弟が代わりに買ってくれた」と酒井さん。「この美術館の原点でもある作品」と話す。

 2階展示室には宮沢賢治の代表作3作品の原画を展示。高野玲子さんの描く「どんぐりと山猫」はエッチングを用いた作品。植物や登場人物の表情などを細かく描いている。「エッチングは大変な技法だが、高野さんは『プラスアルファの面白さが出るから』と続けている。物語の異空間をうまく表現していると思う」(酒井さん)。

 「貝の日」の原画は油野誠一さんによるもの。子どもが描いたような自由で遊び心のある画風が特徴。「一つの絵の中にとてもたくさんの色を使っているのに、ちゃんと世界観がまとまっていると思う」と学芸員の米山裕美さん。「雨ニモマケズ」は小林敏也さんの版画原画を展示。詩は絵の一部のように掘り込まれており、すべての絵に宮沢賢治作品の登場人物が描かれているという。「小林さんは宮沢賢治をライフワークとしているような人。相当読み込んでいる。賢治を知っているからこそできる作品」と米山さん。「原画は黒の一色刷りだが、絵本ではカラーで刷られている。見比べてみると面白いのでは」。

 「印刷するとどうしても原画独特の質感や色彩を再現しきれない。原画だから見られる美しさを見てほしい」(米山さん)とも。

 開館時間は9時30分~17時(入館は16時40分まで)。観覧料は、大人=700円、小学生=500円、3歳以上=250円。会期中は木曜休館。3月16日まで。

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