井上百貨店のギャラリーで造形作家の2人展-身近な川の石を素材に

作品の前で。伊藤さん(写真左)と佐藤さん。

作品の前で。伊藤さん(写真左)と佐藤さん。

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 石を素材にした造形作家の伊藤博敏さんと佐藤陽一さんの2人展「伊藤博敏+佐藤陽一展」が現在、井上百貨店別館6階のギャラリー井上(松本市深志2、TEL 0263-33-1150)で開催されている。

ニヤリと笑う石「口の硬い奴ら」

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 市内で石材店を営みながら制作活動を行っている伊藤さんは、20点ほどの作品を展示。主に梓川の石を用いて制作している。開いたファスナーから歯がのぞき、石がニヤリと笑っているように見える「口の硬い奴ら」は伊藤さんの定番ともいえる作品。「歯の部分は歯科技術士のいとこに作ってもらっている。作品というよりも、そっちにお金がかかっちゃって(笑)」。ほかにも、布の柔らかさを感じさせる「ジップアップシャツ」や、ファスナーの中から貝殻がのぞく「海の記憶」、硬貨が詰まった「コイン入り財布」、中にMP3プレーヤーを埋め込んだ新作など、石の硬さを忘れてしまうような作品が並ぶ。

 佐藤さんは新潟県長岡市在住。28歳のときにそれまで就いていた建築設計の仕事を辞め、作家活動を始めた。作品は一見、粘土細工のように見えるが、石をベースに粘土やひもなどで包んで作っている。「粘土だけだと自分が思った通りの形を作ることができるが、石をベースに考えることで、素材を生かした形でものづくりができる」と佐藤さん。石の形から、まずネコやフクロウといった丸みのある形の動物が生まれ、それからさまざまな動物ができあがっていったという。新作の「体操シリーズ」は石をテーブルに置いてみたら斜めに立ったことからヒントを得て生まれた作品。「信濃川の近くで育ってきたから石が身近だったのかも。最近の子どもたちは石ころを見る機会も減ったんじゃないかな。石を手に持ったときの重さや安心感、なじみの良さなどを忘れてしまっているような気がする」と佐藤さんは話す。

 2人展は今回が14回目。年に1回、松本と長岡で交互に開催している。2人が出会ったのは東京の作品展だったという。「(梓川は信濃川水系なので)同じ川でつながっている、『石』を扱うもの同士ということで、川の上流と下流で交互に展示会を開いている」と伊藤さん。「すべてが東京を中心にして発信するのではなく、地方で活動する者が結びついて、上手く発信していくことができれば」と佐藤さん。

 作品はすべて販売も行う。「海の記憶」=52,500円~、「口の硬い奴ら」=105,000円~、ブローチ=1,575円~、体操シリーズ=4,200円~。
営業時間は10時~19時(最終日は17時)。12月8日まで。

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