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「Rethink Creator PROJECT」長野セミナー 視点変え、地域の魅力を発信

提供:Rethink Creator PROJECT 制作:松本経済新聞編集部

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 地元クリエイターを発掘、支援するイベント「Rethink Creator PROJECT (リシンク クリエイター プロジェクト)長野セミナー」が9月8日、「長野アークスセンター」(長野市アークス)で開催されました。

Rethink Creator Projectとは?

 「クリエイターの地産地消」をコンセプトに、「地元を誰かにまかせない」をテーマに掲げ、2018年からスタートした同プロジェクト。全国各地で開く無料セミナーを「学びの場」、誰でも応募可能なコンテストを「挑戦の場」と位置付けて展開しています。主催は、クリエイター育成や仕事のマッチングを行うクリエイターズマッチ(東京都渋谷区)。JT(港区)が取り組む、地域社会の課題解決に向き合うプロジェクト「Rethink PROJECT」とJTBとのコラボで実地しています。

 4年目となる今年は、全国17カ所で18セミナーを予定しています。長野県内では昨年9月の松本市に続いて2カ所目の開催。当初、リアルとオンラインの「ハイブリッド」を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンライン配信のみとなりました。オンラインでは25人が参加。会場ではスタッフが検温や手指消毒、マスク着用を徹底して、配信を行いました。

スタッフは感染症対策を徹底して配信

「Rethink=視点を変えて考える」、3つの方法

 登壇したのは、アンティーファクトリー(東京都渋谷区)の社長でアートディレクター・中川直樹さんと、同名古屋支社のアートディレクター・轟最之(とどろきもとゆき)さんのお二人です。前半は、「Rethink=視点を変えて考える」について、3つの方法を説明していきます。

中川直樹さん

轟最之さん

 まずは、「FILTER=属性を見る」。伝えたい相手をイメージして、地元を内側から見てみると、新たな魅力に気付きます。例えば長野の魅力としてどういうものがあるか、中川さんに問われた轟さんが挙げたのは、「雪山」「りんご」「戸隠そば」「善光寺」の4つです。

長野市の4つの魅力

 このような誰もが知っている、思い浮かべるようなものを「フィルターが掛かっていない視点」とし、不特定多数に皆が知っている情報を伝えるのではなく、特定の「誰か」に「何を」伝えるかを考えていきます。轟さんが例として思い浮かべたのは、名古屋の友人・立花さん。そうすることで「旅行好き」「グルメ」「30代の女性」など、輪郭がはっきりとしてきます。そんな立花さんに伝えたいのは、地元の私鉄・長野電鉄が企画する「ワインバレー列車」です。このように、伝えたい「誰か」を決めることで、ぼんやりしていたイメージがはっきりしてきます。長野の魅力を伝えたい「あの人」として、轟さんは街づくりに興味のある名古屋在住のカフェオーナー、SNS好きな東京の友人、クライミングを始めた高校生の息子の3人を挙げました。

具体的に「あの人」を思い浮かべる

 続けて、次の方法は「INSIGHT=内側を見る」。なぜこの人に伝えたいと思ったのかを掘り下げていきます。最初に例に挙げた「ワインバレー列車」は、旅行慣れしている立花さんに一味違った体験をしてもらいたいと考えたからです。同じように轟さんは、カフェオーナーには、地方のローカルスポットとして参考になりそうな古民家、東京の友人には、パッケージも目を引く「八幡屋礒五郎」のスパイス、息子には、外岩のスリルと楽しさを味わえる岩場を思い浮かべました。

「あの人」に合わせたものを考える

 こうすることで、地域の人しか知らないような、よりコアな魅力に気付きやすくもなります。コミュニケーションの方向性が決まると、相手に寄り添った勧め方ができるようになるのです。

 そして3つ目は「CAPTA=印象を見る」。情報には、数値で表すことができる「データ情報」と、解釈が人によってさまざまな「カプタ情報」の2種類があります。前者は数値や位置など、後者は現象や心理などの情報で、クリエイティブを考えるときには「カプタ情報」が重要になります。例えば、同じ轟さんの写真でも、肩書と名前(=データ)よりは、「わかったような顔して頭に入っていない」というコピー(=カプタ)のほうが、「くすっと笑えて、印象に残ります」と中川さん。

カプタのほうが印象に残る

 伝えたい「何か」の印象をイメージすることで、素敵なメッセージが見えてきます。中川さんは、地域の魅力を好きになってもらうためには、「誰に」「何を」が大切だとまとめ、「どんどんRethinkしていきましょう」と呼び掛けました。

オンラインでワークショップ

 後半はワークショップ形式で進行。実際にフィルターを通して伝えたい相手を意識し、写真から感じるカプタをピックアップした後、インサイトに寄り添うキャッチコピーを皆で作り、轟さんがポスターデザインに落とし込みます。ポスター用に選んだ写真は毎年11月、長野市岩石町にある西宮神社の御祭礼・長野えびす講に合わせて開催される煙火大会。100年以上の歴史と伝統がある晩秋の風物詩です。

長野えびす講の煙火大会の写真

 まず、ステップ1「伝えたい相手を想像してみよう」では、できる限り具体的な人物像を想像していきます。オンラインチャット機能を使って、参加者からはイメージした「相手」が寄せられます。

参加者はオンラインチャットで発言

 ピックアップされたものから、轟さんは「今年、自粛続きで夏祭りに参加できなかった東京に住む小学生とその家族」を選びました。続いてステップ2「写真から感じられる印象をたくさん見つけよう」へ進み、写真が撮影されたシーンを想像して、言葉にしていきます。中川さんからは「パッと見たときの第一印象や、感情、オノマトペでもOK。インスタのハッシュタグをつけるようにどんどん数を出してみて」というアドバイスも。参加者からカプタがどんどん寄せられます。

オンラインチャットで寄せられたカプタ

 そして、ステップ3「キーワードを組み合わせてコピーを作ってみよう」では、たくさん挙がったカプタをベースにキャッチコピーを作ります。「子どもに音がそのまま響く」という理由で、轟さんの目に留まったのは「ドドーン!止まった時が動き出す!」。このコピーを使って、画面上でレイアウトを実演していきます。

 チャットの投票機能を使って、多数決で字体や書字方向を決めていきます。決まったのはゴシック体・縦書きで配置。「余白がなくて、画面いっぱいに花火があるので難しい」と縦書きに苦戦しながらも、「ドドーン!」の文字は真ん中に置き、はみ出すくらい大きくしました。「時間」には「とき」とルビを振り、ビックリマークの代わりに句点を入れるなど細かい部分も調整する様子に、中川さんからは「さすがアートディレクター」とのお褒めの言葉も飛び出しました。

轟さんの腕の見せ所

 続けてもう1枚、別の写真を使ってポスター作りを行う予定でしたが、配信トラブルで時間がなくなり、急きょ同じポスターに別のキャッチコピーでもう一案を作ることに。先ほど寄せられコピーの中から再度選びます。悩む轟さんに、中川さんが助言をしながら、2案を組み合わせて出来上がったのが「寒っ!心も体も震える。花火の甲子園」というコピーです。

 レイアウトの投票結果は、横書き・明朝体。「普通にテキストを流し込むと、『寒っ!』や『甲子園』という力のある言葉がもったいない」と試行錯誤する轟さん。文字と文字との間隔を詰めたり、ビックリマークの後にハテナマークを追加したりして、ポスターが出来上がりました。

「寒っ」をどう見せるのが良いか悩む

 「このポスター、品川駅で見かけたら、長野に行きたくなるよね」と中川さんも満足の仕上がりに。轟さんは「本当は、ライターさんが作ったコピーは変えたくないけど」と少し悔やみつつも、急な変更にも臨機応変に対応してくれました。

長野セミナーを終えて

講師を務めた中川さん(左)と轟さん

中川さん

これまでもいろいろな地域で登壇してきましたが、その度にこれまで自分が知らなかった魅力を発見できるのがうれしいです。今回も、長野の新たな一面を見せてもらい、より深く知りたいと思いました。
地域の魅力を発信する、というのは難易度の高いことではありません。どんな人でもできることだと、もっと多くの人に伝えていきたいです。

轟さん

今日は、参加者の皆さんと直接会話はできませんでしたが、コピーワークを通じてコミュニケーションができたと感じています。
本質的なことを噛み砕いて突き詰めていくことや、物事を解像度高く考えていくことに、日頃から取り組んでおくと良いと思います。決められたときではなく、普段から意識してやることが大事。日々のものの見方が、いざというときに生きるはずです。

日本たばこ産業株式会社(JT)上信越支社長野支店支店長代理・佐藤彰美さん

いろいろな人の多様な思いや言葉が集結して、良いアウトプットができたと思います。特に面識やつながりがない人同士が、一緒に一つのものを作り上げる、価値ある時間になりました。

日本たばこ産業株式会社(JT)上信越支社リレーション推進部担当部長・蜂谷明子さん

伝えたい相手を子どもにしたことで、素直に、シンプルに表現することの強み、面白さを感じました。今日の講座を今後、何かに役立ててもらえればうれしいです。

主催者代表 クリエイターズマッチ・呉京樹社長

オンラインのみの開催になりましたが、参加者が積極的に発言してくれたことで、一体感のあるセミナーとなりました。皆さん、ネタが豊富で反応も早い。本当は別の写真で2つのポスターを作りたかったのですが、残念です。配信トラブルに対しても温かいコメントをいただき、励まされました。最後までお付き合いいただいたことに、感謝しています。ありがとうございました。

ワークショップで学んだら腕試し!

「Rethink Creator PROJECT」では、学びを実践する機会として「Rethink Creative Contest(リシンク クリエイティブ コンテスト)」を開催中です。今年は「地元のアフターコロナをRethink」をテーマに、今回のワークショップのような身近な地域の魅力をPRするポスターを募集します。アイデアや切り口の面白さを重視したコンテストのため、デザイン経験がなくてもチャレンジできます。応募締め切りは10月17日まで。選考作品は地元PR賞としてギフト券5,000円分、優秀賞として賞金3万円、審査員賞として賞金5万円、最優秀賞として50万円を進呈します。詳しくは下記のウェブサイトをご覧ください。

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