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松本・庄内でホタル観察会 多様な生物に接する機会にも

ヘイケボタルはあまり飛ばないため、足もとで光っていることも多い

ヘイケボタルはあまり飛ばないため、足もとで光っていることも多い

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 松本市庄内の大型ショッピングセンター「コモ庄内」(松本市出川1)の北東側にある庄内北公園の水路に今年もヘイケボタルが出現し、近くの小学生らが観察に訪れている。

ホタルも住める環境づくりをした水路

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 以前は付近一帯、川にはゲンジボタル、田にはヘイケボタルが生息していたが、区画整理工事に伴い年々数が減少。「ホタルも住める環境を残そう」と2003年に現地調査を始め、水路の移転を行った。その後、住民有志による「庄内ほたると水辺の会」が維持・管理しながら、勉強会や観察会などを開催している。

 取り組みは「第4回地域再生大賞優秀賞」(2014年)、「田中正造記念賞奨励賞」(2015年)を受賞。一昨年には市民団体や専門家らで「松本ほたる学会(まなぶかい)」も発足した。「他の動植物と一緒に、ホタルも自力で世代を重ねられる多様性を備えた環境づくりが評価されているのだと思う」と、同会事務局長の信州大学名誉教授・藤山静雄さん。視察に訪れる人も増え、県外でも同様の取り組みが広がっているという。

 3日に行われたホタル観察会には130人ほどが参加。今年は6月中旬ごろからホタルが現れ始め、この日は約570匹を数えた。ヘイケボタルはあまり飛びまわらず水辺付近で止まって光っているものが多く、同観察会では、プラスチックカップを渡してじっくり観察できるようにしている。訪れた人たちからは、「今年はたくさんいる」という声も聞かれ、カップを手にかざしたり、大切そうに抱えたり、ホタル以外の虫を捕まえて喜ぶ子どもたちの姿も見られた。

 今年6月、市では「市民ホタル調査」を開始。分布状況を把握するために、市民からホタルの目撃情報を募っている。「昨年は少なかったが、今年は『豊作』のようで、市街地や松本駅構内で見たという情報も寄せられている」と藤山教授。「子どもたちが多様な生物と触れ合える場を大事にしたい。疑問や着眼点が面白いということを伝え、自ら感じる体験を増やしていければ」と話す。

 観察会は7月9日にも行われる。実施時間は19時15分~21時ごろ。ホタルが最も光りやすい時間は20時過ぎ。8月7日には自然観察会も開く予定。

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