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松本の老舗「松本館」がカフェ営業 国登録有形文化財の大広間で

松本市出身の彫刻家・太田南海が設計監修した大広間は1935(昭和10)年に完成

松本市出身の彫刻家・太田南海が設計監修した大広間は1935(昭和10)年に完成

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 松本城近くにある割烹(かっぽう)「松本館」(松本市丸の内)が5月1日、国登録有形文化財の大広間「鳳凰(ほうおう)の間」でカフェ営業を始めた。

転機となった「マツモト建築芸術祭」での展示

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 1890(明治23)年創業。99畳ある大広間は、松本市出身の彫刻家・太田南海(1888~1959)が設計監修。色鮮やかな「百花百鳥」の天井画があり、柱には彫刻が施されている。

 メニューは、地下水を使っていれた「館オリジナルブレンドコーヒー」(650円)、抹茶(600円)や「季節のわらびもち」(650円)のほか、そば茶(550円)、「太田農園のりんごジュース」(600円)など地元産のドリンクも。アルコール(ミニつまみ付き)は、生ビール(850円)と松本ブルワリーの瓶ビール(1,150円)を用意する。

 松本館は、大広間だけではなく大小の個室も含め基本予約制。大広間は結婚式の披露宴や前撮り、宴会などでの利用が中心だったが、コロナ禍で団体客が減少。営業スタイルを模索する中、昨年初開催された「マツモト建築芸術祭」が転機となった。直前に緊急事態宣言が出た影響で、彫刻作品を展示するために急きょ大広間を開放。おかみの宮澤裕佳理さんは「(建物内の公開は)初の試みだったが、建物の持つ力をあらためて感じた。アート好きの方や観光客など、これまであまりなかった客層との出会いとなった」と振り返る。

 同芸術祭で初めて訪れたという地元の人も多く、その後、会食で利用する人も増えたという。「まず、知ってもらうことから始まると実感した」と宮澤さん。これまで予約対応していたスタッフにとって負担にならない形で営業を検討。4月からプレオープン期間を設け、準備を進めてきた。

 「館(かん)カフェ」と銘打ち、営業は団体利用がない日、週2、3日。「カフェのために調理スタッフを配置するのは難しいが、逆に地元のおいしいものを紹介する場にしたい」と、近隣の店舗と連携しながら、メニューを増やしていきたいという。「私たちにとっては新たな取り組みで、試行錯誤しながらだが、多くの方に喜んでもらえるようにしていきたい」とも。

 営業時間は14時~17時ごろ。5月は22日、23日、29日、30日を予定する。営業日はフェイスブックとインスタグラムで確認できる。

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