松本で「映画の教室」-ハリウッドの裏側を知り、映画の現状を考える

「映画の教室Vol.1」講義の様子。

「映画の教室Vol.1」講義の様子。

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 NPO法人「コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト」が主催する「映画の教室Vol.1」が7月11日、松本市中央公民館・Mウイング(松本市中央1)で行われた。

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 当日は、ハリウッド映画の「裏側」に迫るドキュメンタリー映画「ハリウッド監督学入門」の上映と、講義「ハリウッド映画不振のウソ/ホント」の2部で構成。約20人が参加し、熱心に耳を傾けた。

 同作品は、「仄暗い水の底から」(2002年)、「L change the WorLd」(2008年)などの監督で、ジャパニーズホラーの代表の一人とも言われている中田秀夫監督の作品。自身が「ザ・リング2」(2008年)でハリウッド進出を果たしたときの経験をもとに、ハリウッドで映画を撮ることの困難さや膨大な資金と時間を費やす映画界の裏側に迫っている。

 講義では、信州大学人文学部准教授(映画研究)の飯岡詩朗さんが講師となり、ハリウッド映画の製作体制の変遷や、日本の映画興行収入の現状などを説明した。「日本ではここ数年、洋画不振といわれているが、アメリカでは興行収入が増えているし、そもそも、(興行収入の)規模が違うので…」と飯岡さん。新聞記事なども交えながら、日本の映画界の現状について話した。

 後半は質疑応答の時間に。テレビドラマを映画化した作品の人気が高いことについては、「昔は、ドラマを放送していたテレビ局だけが宣伝していたのに、今は相互で宣伝し合っている。多くの番組で取り上げているから『話題になっている』『面白そう』と視聴者が感じて、人気が出ているのでは」と分析。「ヒットはするが、わたしは面白くないと思っているので…いずれは飽きられるのでは」とも。「最近はハリウッド映画も多様化しているので、『話題作じゃない新作』をぜひ見てほしい。きっと面白さを感じてもらえると思う」と講義を締めくくった。

 最後に、同法人の宮崎善文理事長があいさつし、日本の映画業界の現状を語った。「シネコンは増えたが配給会社が減って、スクリーンはあるけれど上映する映画がないという状況。面白くない映画をやると、観客の質も下がる。すると映画全体の質も下がる…という悪循環になっている」と現状を憂い、「この先、映画館もデジタル化が進み、1~2年で状況が変わってくると思う。見られるときにぜひいい映画を見てほしい」と呼びかけた。

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