松本の飲食店が地元産の食材を使ってコラボするイベント「makers action vol.1」が、9月13日、「和泉町(いずみまち)五蔵」内のダイナー「OLDIES B GOODIES(オールディーズビーグッディーズ)」(松本市旭1)で行われた。
この日だけの限定メニュー「スペシャルダブルバーガープレート」
同店店主・藤原直樹さんと、食堂「Alps gohan(アルプスごはん)」(深志3)の店主でフードユニット「つむぎや」として活動する料理研究家・金子健一さんが、1日限りのコラボ料理を考案して提供。「スペシャルダブルバーガープレート」は、市内の「ふぁーむしかない」や「SASAKI SEEDS」の野菜を中心に使い、金子さんの看板メニュー「キタアカリの裏いなりコロッケ」や、藤原さんが作る4種のバジルを練り込んだバンズ、100%ビーフパテなどを合わせた。
藤原さんが店を始める際に、金子さんが地元農家を紹介したこともあり、両店では普段から地元の食材をメニューに取り入れている。イベント時は端境期になることから、生産者の元に足を運び、どんな野菜を使えばいいか助言を求め、試行錯誤しながら、お互いに得意な「焼き」「揚げ」の技術を生かせる料理を考えた。
当日は、同店の厨房(ちゅうぼう)に金子さんも入り、2人で調理。「金子さんは大先輩なので緊張した。勉強させてもらったし、刺激にもなった」と藤原さん。ケータリングなど、自店以外で調理することも多い金子さんは、「お互い楽しみながらできた。それはお客さんにも伝わったのでは」と笑顔を見せる。
主催はローカルコミュニティー「MAKERS MATSUMOTO」。地元の生産者と飲食店をつなげ、紹介することで、「循環の輪」を大きく強固にしていくことを目指して、今年3月に本格的な活動を開始した。現在のメンバーは、松本周辺の農家7組と、その農作物を使っている市内の飲食店7店。主催者の会社員・山口高広さんは「松本では強い思いを持つ『作り手』がたくさんいる。そんな作り手同士がさらにつながれば、面白いことが起きると思って立ち上げた」と話す。
同イベントは、山口さんが以前、アメリカで見た光景がヒントになったという。「料理人がほかの店の厨房に入って一緒に作る。それが松本でも日常になったら楽しい」。近日中に、金子さんの店で藤原さんが一緒に限定メニューを用意する「入れ替えバージョン」も予定している。
用意した40食は予約で完売。来月には2回目としてダイナ―「The Source(ソース) Diner」(大手4)とガレット専門店「creperie monkava(クレープリー モンカバ)」(島内)のコラボも行う。山口さんは「常連の方にとってはより深く知るきっかけに、初めて訪れる人にとっては新たな出会いになれば。今後も、生産者、料理人、お客さん、皆がハッピーになる企画を立てたい」と意気込む。