松本・上土町でまちづくりの活動に取り組んできた松本大学(松本市新村)観光ホスピタリティ学科の学生による卒業研究発表会が2月26日、「上土ふれあいホール」(大手4)で行われた。
同大学の白戸ゼミと畑井ゼミに所属する4年生13人が3つのグループに分かれて登壇。会場以外にも、拠点としていた上土町の「カフェあげつち」や同大学の研究室をオンラインでつなぎ、3年生や活動で関わってきた地元の関係者も参加した。
畑井ゼミは、インスタグラムや白鳥写真館の前にあるショーケースを活用した情報発信を展開。これまで撮影した写真をまとめた冊子「上土PHOTO」も製作した。「住民の地域活動への参加に関する研究」と題したグループは、高齢化や後継者不足などから商店街や地域の存続が危ぶまれる中、地域活動に参加する人を増やす方法を提案。「人間関係が影響を与える『まちの存続』に関する研究」と題したグループは、暮らしや生活環境、地域資源、人間関係などが「まちへの魅力」の感じ方にどのように影響するかを調査した。
白戸ゼミは、「地域における情報発信の課題と可能性」をテーマに、上土町の情報を掲載したミニコミ誌「あやめ」を、昨年6月から月2回のペースで計12回発行した。当初、基本的な情報を伝えることで集客や地域活性化につなげたいと考えていたが、取材・編集を続けるうちに、店主の経歴や思いなど、普段見えない情報に着目するようになっていったという。観光客など外部の人を呼び込むことが難しい状況下で、地域住民やその周囲の人を対象に、「地域を知り、住民同士の共通の話題となる情報発信の在り方」について考えた。
コロナ禍で春先から大学は休校が続き、再開後もオンライン授業が中心で、校外活動が制限されるなど、予定通りにいかない部分も多かった。同大総合経営学部観光ホスピタリティ学科の白戸洋教授は「学生自身が孤立や孤独を実感した1年。思い通りにいかないこともあったが、地に足が着いた活動にはなったと思う。今年は打ち上げもできなくて残念だが、その分、数年後に良い振り返りができれば」と締めくくった。