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松本城近くの銭湯「塩井乃湯」で1年限定「おかみ研修生」奮闘 利用者増目指す

番台に座る熊島さん。常連客とのやり取りも板に付いてきた

番台に座る熊島さん。常連客とのやり取りも板に付いてきた

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 松本城近くにある創業110年を超える銭湯「塩井乃湯」(松本市大手3、TEL 0263-32-1507)で現在、1年間限定で東京からIターンした熊島牧子さんが「おかみ研修生」として奮闘している。

女湯の様子を紹介する熊島さん

 塩井乃湯は、明治時代の創業。大正時代に建てられた建物は、当時流行していたモダン建築を取り入れ、脱衣所の天井にはオランダから輸入されたという装飾鉄板が張られている。お湯は地下から湧き出ている井戸水を使う。

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 現在、経営するのは熊島さんの叔母・田中洋子さん。おととし、田中さんが入院したときには、常連客が交代で店を開けていたという。「叔母は、あと3年くらいで閉めると言っているが、地元にも愛されている場所なので、このまま閉めるのは心苦しいと思った」と熊島さん。3人姉妹の長女で、「祖父母にも『叔母のことをよろしく』と言われていたし、本来私の父が継ぐはずだった、という思いもあり、自分が何かしなければいけないような気がした」と話す。

 東京で夫と長女と暮らしていた熊島さん。長女が高校1年生になった今年4月、松本へ単身で移住した。午前中は近くの小学校の事務員として働き、午後は番台に座る。「子どもの頃は番台によく座らせてもらっていたが、最初は慣れなかった」。男湯側にカーテンを掛けていたが、「話すことを楽しみに来ている人もいるのに、拒否しているような印象を与えてしまう」と田中さんにとがめられた。危機管理の面もありカーテンは外したが、「1週間は番台に座れなかった」という熊島さん。現在は、常連客との会話も楽しめるようになった。

 年々利用者が少なくなる中、松本城外堀復元事業のための区画整備などで、近所に住んでいた人たちが引っ越し、さらに利用者が減少。お風呂を沸かす際に使う重油の値上げも追い打ちをかけた。「叔母からは、『経営が難しいのに継がせるのも申し訳ない』と言われている」と熊島さん。少しでも利用者を増やしたいと、情報発信に取り組む。チラシを作って配ったり、近くのゲストハウスを訪ねてPRしたり、ブログやツイッター、インスタグラムも始めた。

 長女の大学受験の準備のため、来年と再来年は東京に戻ると決めている。「それ以降は、まだ分からない。どうしていくかを決めるために、今はできる限りのことをやろうと思う」と熊島さん。「若い人たちや外国人観光客など、まずは利用者を増やしたい」と意気込む。

 営業時間は15時~22時。月曜定休。入湯料は大人=400円、6歳以上12歳未満=150円、6歳未満=70円。