「平成中村座 信州・まつもと大歌舞伎」が7月2日、開幕した。
2年ぶり2回目となる同公演の演目は「佐倉義民傳(さくらぎみんでん)」。領主の圧制に苦しむ農民を救うために処刑を覚悟して将軍に直訴する名主・木内宗吾の「生き様」を、ラップ調の音楽に乗せたセリフやエレキギターの生演奏などを交えて描く。前回同様公募した「市民キャスト」64人も参加する。
公演に先駆けて行われた会見では、役者陣が意気込みを語った。主演の中村勘三郎さんは「前日に行ったけいこで代役を立てて客席から見てみた。そうしたら、市民キャストで舞台上がすごい人になって、笑っちゃうくらい迫力があった」と話し、「けいこなのに号泣するスタッフもいた。そのくらい力のある、すごい芝居になった」と手応えを感じた様子。演出・美術の串田和美さんは「根底に大きなエネルギーの流れる作品になった。新しい中村座の魅力を感じてもらえると思う」、中村七之助さんは「芝居を盛り上げてくれている街。開演が楽しみ」と話した。笹野高史さんはコメントを求められると、突然「松本最高だぜ!」と振り付きのラップを披露。役者や記者たちを笑わせた。
4日には、「チケットを取れた人も取れなかった人も楽しめるように」と企画された、出演役者らによる「登城行列」が行われた。直前から雨が降り出すあいにくの空模様の中、沿道には多くの人が。みこしや舞台に続いて、勘三郎さんを先頭に役者たちの乗る人力車が登場すると、「中村屋!」「成駒屋!」などの屋号や「お帰りなさい」という声が上がり、熱い歓迎に役者らは笑顔で手を振って応えた。
行列は30分ほどをかけて松本城に到着。待っていた市民と、後をついてくるように入場した市民が見守る中、本丸庭園特設ステージで「松本城 市民ふれあい座」が行われた。勘三郎さんは「2年ぶりに帰ってきました」とあいさつ。役者が一列に並ぶステージを見て「マクドナルドの宣伝ではございません(笑)」と笑いを誘う場面も。役者ら皆が2年ぶりの再会を喜ぶコメントを寄せる中、笹野さんはここでもラップ調で「松本最高だぜ!」と一言。会場を沸かせた。
公演は今月8日まで、まつもと市民芸術館(松本市深志3)で行われる。