演劇制作者のための合宿型ワークショップ「Next Producers Camp 2012 in 松本」が5月3日~5日の3日間、まつもと市民芸術館(松本市深志3)で行われた。
同ワークショップは、演劇制作やプロデューサー、アートマネジメントを志す20代を対象にしたもの。塩尻市出身で、現在は東京で演劇プロデューサーを務める赤羽ひろみさん(25)が企画した。ナビゲーターとして、劇団「キャラメルボックス」のチーフプロデューサー・仲村和生さん、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」の制作代表・伊藤達哉さん、劇団「青年団」「こまばアゴラ劇場」の制作・プロデューサーを務める野村政之さんを迎え、さまざまなプログラムを行った。
市内をはじめ、東京や福岡など日本各地から集まった21人が参加した。初日は各ナビゲーターから理念や概念などの講義と質疑応答を行い、参加者とナビゲーターとの距離を縮めた。2日目は館内見学と、初日の内容を基に3グループに分かれて話し合い、発表。3日目は事前に参加者に与えていた課題「○年後のビジョン」の宣言を行った。
2日目のグループディスカッションは約6時間にわたって行われた。公演に来てもらうための案を議論したチームは「チラシ一つとっても、劇団の色を出したいのは分かるが、初めて知る人にちゃんと自分たちを伝えることが『創客』につながる」と話した。ほかに、演劇を継続できる組織作りについてや、制作者同士のつながりの大切さなどを発表するグループも。ナビゲーターからは「経営とは一般的にはお金のマネジメントだが、実は『人』をどう組織するかや育てるかだと思う」「考え込むよりも話すことで次のアイデアが出てくることもある。話すことが大切」などと講評した。
市内で活動する劇団「れんげでごはん」に所属する遠藤優さんは「普段使わない頭をフルに使ったので疲れた(笑)。同じ思いを抱いている人たちと夢中になって話せたのでよかった」、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館に所属する岡田康之さんは「『合宿』というかたちで共同生活することでより一層深く関わることができた。今日のメンバーが日本の演劇界で活躍する姿を見られたらうれしい」と話した。
「東京に出て学んできたことを地元で生かせたらと思って企画した。何かを生み出す作業を、大好きな松本で行いたかった」と赤羽さん。「初日と最終日で参加者の表情が変わっていて面白かった。コミュニケーションを取りながらいい関係性を築いてくれたのでよかった」とも。