松本市を中心に美術館、博物館、あがたの森公園など約50カ所で展示やワークショップなどを行う工芸イベント「工芸の五月」が4月29日から始まる。
松本と工芸の深い関わりに着目し、毎年5月を「工芸月間」として行われる同イベント。5回目となる今回は、松本市周辺のギャラリーや美術館以外に、飲食店や美容室も参加する。
「ほろ酔い工芸」は地元作家と飲食店のコラボ企画。「蕎麦倶楽部(そばくらぶ)佐々木」(松本市大手4)では江間廣さん(筑北村)の陶器を、「ジュレ・ブランシュ」(大手2)では柏木圭さん(大町市)の木の器を、「ALPHA(アルファ)」(中央1)では安曇野市の若手ガラス作家4人のグラスを、それぞれ用いて料理やドリンクを提供する。実際に使用する器を展示販売する「ほろ酔い工芸展」(松本市美術館、5月3日~8日、5月25日~29日)も併せて開催する。
松本の湧き水をキーワードにした企画も開催。「みずとこめに」では濱中史朗さん(山口県)の器の展示販売のほか、コーヒーや酒、お菓子などを提供する。「まつもと城下町湧水群」と工芸をつなぐプロジェクト「みずみずしい日常」は今年で3回目。水場を巡るツアーを開催する「旅行社みずのさんぽ」や、地区の湧き水でいれた水出しコーヒーを提供する「池上喫水社」など、さまざまなイベントを予定。5月28日・29日には、あがたの森公園で「クラフトフェアまつもと」が行われる。
現在無料配布している「公式ガイドブック」には企画や地図、参加店舗の情報を掲載。巻頭特集「暮らしと工芸」では、市内の「中屋ノコギリ店」「しな布」「みすず細工」などを紹介。「(松本は)古くから工芸が暮らしに寄り添い、あまりにも自然に作り手と使い手がつながっているために、工芸が持つ深遠に鈍感になって、なかには消えゆこうとするものもあるのでしょう。松本に息づくたくさんの工芸が、これから先もずっとつながっていってほしい」と記されている。
「飲食店などが加わり、開催場所も多彩になったので、街歩きの楽しみも増えるのでは」と企画室の倉澤聡さん。「期間中は在廊する作家さんも多いので、作品に触れたり話したりすることで作り手と使い手のつながりが生まれれば」とも。
5月31日まで。