松本市内の映画館「エンギザ」(松本市大手4)が6月27日、突然閉館した。
平形興行(大手4)が運営していた同館。27日までは通常通りに営業を行っていたが、その後、同館入口には「閉館のお詫びとお知らせ」の張り紙が。「事前の告知もなく突然の閉館となってしまい、お客様へ多大なるご迷惑をお掛けしたことをここに深くお詫び申し上げます」と突然の閉館を詫びる文章が掲出されている。
90年以上の歴史を持ち、「街の映画館」として親しまれていた同館。松本市街の映画館は2000年ごろから閉館が相次ぎ、2008年10月24日には「テアトル銀映」、11月14日には同社が運営していた「上土シネマ」が閉館している。「上土シネマ」閉館時の取材に応じた同社支配人の平形友宏さんは、最新の設備がそろうシネコンが開業する中で、「街の映画館」が消えゆく現状や存続への思いを口にしていた。
張り紙は「開館より90有余年、とてもとても沢山のお客様にお越し頂き、映画の上映を続けることができたことを心より感謝いたします。本当にありがとうございました」と感謝の言葉で締めくくっている。
28日付けの地元新聞の映画情報欄には同館の上映スケジュールが記載されたまま。突然の発表はツイッター上で話題になり、「街の映画館の消滅」を惜しむ声が広がっている。この事実を確認するため同館に足を運び、張り紙を撮影する人の姿も見られる。前売り券の払い戻しについては現在、対応を検討中だという。