松本「上土シネマ」が90年の歴史に幕-老舗映画館、市街地から姿消す

「『閉館記念特別上映』のために久しぶりに看板を書いてもらった」(平形さん)手書きの看板がノスタルジック。

「『閉館記念特別上映』のために久しぶりに看板を書いてもらった」(平形さん)手書きの看板がノスタルジック。

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 松本市・上土通りの映画館「上土シネマ」(松本市大手4、TEL 0263-32-0396)が11月14日、閉館する。

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 同館は1917年(大正6年)ごろ「松本電気館」として市内の有志が出資して開館した。その後、平形興行(大手4)に運営を譲渡、「オリオン座」「松本東映」と改名し、1967年(昭和42年)ごろに建物を改築、現在の木造一部鉄筋コンクリート造りの映画館となった。2002年に通りの名前をとって「上土シネマ」と改名し、現在に至っている。

 施設の老朽化や周辺環境の急速な変化が閉館の理由。90年以上続いた「老舗映画館」を惜しむ声は多い。「移転せずにずっと同じ場所で営業している映画館としては、全国的に見てもかなり古いと思う」と同社支配人の平形友宏さん。自身にも当然寂しい気持ちはあるというが、「(郊外に)シネコンなど、これだけ施設の充実した映画館が増えると…同じ金額をもらうのに、十分なサービスが提供できないのは心苦しくて」と話す。

 松本市街の映画館は2000年ごろから次々と閉館。同館に近い「テアトル銀映」も先月24日に閉館し、現在営業しているのは同社が経営する「エンギザ」のみとなった。「このあたりが繁華街だった時は、かなりにぎやかだった」(平形さん)。29歳の平形さんにとって、当時は「経営側」ではなく「お客さん」。「子どものころから行き来していたので思い入れがある」と寂しさを募らせる。

 閉館日となる今月14日は通常通り営業を行い、「TOKYO!」は12時40分、「イースタン・プロミス」は15時が最終上映。今月22日~24日の3日間は「閉館記念特別上映」を行う。「宮本武蔵」(1961)、「仁義なき戦い」(1973)、「バトル・ロワイアル」(2000)など新旧織り交ぜた作品を各日3~4本上映する。入場料は500円(当日券のみ、各作品入替制)。

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