長野県内の巨樹・古木ら「おおまき」を題材にしたCD付き絵本刊行

田之上尚子さんのイラストと下田民子さんの歌声で優しい雰囲気に仕上がった「おおまきの唄がきこえる」。

田之上尚子さんのイラストと下田民子さんの歌声で優しい雰囲気に仕上がった「おおまきの唄がきこえる」。

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 松本の女性2人が手がけたCD付き絵本「おおまきの唄(うた)がきこえる」(オフィスエム)が10月27日、刊行された。発行は「子どもの心に木を植える運動」を進める「長野県緑の基金」。

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 同書は長野県内の巨樹や古木を題材に、命の尊さや思いやりの心などを子どもたちに伝えることをテーマに掲げる「木が伝えてくれる物語シリーズ」(全5作)の第2弾。清内路(下伊那郡阿智村)にある、国の天然記念物に指定されているミズナラ(推定樹齢300年)を題材にしている。地元では「大きなまきの木」から「おおまき」と呼ばれている。

 「当初からCDを付けた絵本にしようと思っていた」とオフィスエムの同書担当・寺島純子さん。絵と文は、同社発売の本の挿絵を多く手がけていたイラストレーターの田之上尚子さんに依頼。音楽は、環境に対しての取り組みや作曲を行う音楽ユニット「雅音人(がねっと)」の活動が本のイメージに合うと感じ、同ユニットの下田民子さんに依頼した。

 物語はさまざまな「音」で展開。少女が不思議な音に導かれて山に入ると、鳥のさえずりや川の音、木のざわめきなどが聞こえてくる。夜になり、朝を迎えると、少女の目の前におおまきが現れる。おおまきの鼓動や、山の中で聞いてきたさまざまな音が響き合い、「待ってるよ、待ってたよ いつでもみんな、待ってるよ」というメッセージが聞こえてくる。

 CDには下田さん作の4曲と、「清内路 コカリナをふきまい会」による、台風で折れたおおまきの枝で作ったコカリナで演奏する1曲を収録。聞こえてくる川や鳥などの自然の音は、実際に清内路で収録したもので、下田さんの提案で地元の子どもたちのコーラスを入れた曲も。「おおまきを見て、すぐにイメージが沸いた。きっと優しい気持ちになってもらえると思う」と下田さん。

 田之上さんは、CDに収録されている下田さんの曲「森の声~やさしい場所へ」を参考に物語を作ったという。「この曲に入っている『おいでよ 待ってるよ』というフレーズを含めようと思った。実際に木を見に行ったときのイメージや、この木に対する地元の人たちの強い思いも表現したかった」と田之上さん。「生命力のある絵本。木の持つ不思議なイメージを感じてもらえたら」とも。

 A4変形版、40ページフルカラーで1,200円。売り上げの一部は「緑の基金」を通じて森林づくりや子どもたちの環境教育に役立てる。平安堂、TSUTAYA各店などで販売。今後、毎年1作ずつの刊行を予定している。

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