松本大学(松本市新村)の学生が考案したミニどんぶり「cupDON(カップドン)」が7月30日から、県内のサークルKサンクスで2週間限定販売されている。
同大学観光ホスピタリティ学科の学生とサークルKサンクスの共同開発で生まれた同商品は今回が第3弾で、コンセプトは「ママの気遣い」。阿南町産鈴ヶ沢ナスや原村産ピーマンなどを使った「マーボー」(398円)、県産のトマトケチャップを使ったケチャップライスの上に油分を抑えたカレービーフンをのせた「ケチャ飯ビーフン」(260円)、サフランライスの中にエビや豆腐ハンバーグを入れて、上にはちくわとウインナーソーセージで顔を作った「スマイル」(190円)の3種類。栄養や安全に配慮しながら、ご飯にコンニャクを混ぜたり、ひき肉の代わりに大豆加工品を使ったりするなど、カロリーも考慮した。
昨年1月に第1弾として新村の「くれき野米」や「松本一本ねぎ」を使った3種類の「cupDON」を2週間限定で販売、約8,000食を売り上げた。第2弾は昨年5月に信州の春の食文化をテーマにした「野沢菜茶漬け」など3種類を販売。約6,000食を売り上げたが、第1弾と比べると食材へのこだわりが薄い、廃棄が多いなどの課題が残った。
今回は「子育て支援」をテーマに昨年6月に開始。「かかわる人が多いほど、多くの人に支持される」「こだわり食材がなければアピールできない」といったこれまでの課題を生かし、アンケートを実施したり、食材の生産地に出向いたりして開発を進めた。また、地元の子育て支援サークルと「食育学習会」を重ね、添加物やアレルギーについて学び、アイデアを出し合いながら試作を行った。中心となって動いていた昨年度の4年生は3月に卒業。在学中に商品化するべきかどうかを話し合い、発売を急ぐより、完全なかたちで世に出したいということになり、プロジェクトは現在、3年生が引き継ぎ、活動している。
「『cupDON』はゼミの成果の一つ」と同学科の白戸洋教授。同大学開校前の松商短大時代から交流のあった地元のJA青年部と「米の特産化」についてワークショップを開いたのは2005年秋。そこからスタートし、田植え体験、朝市でのうるち米販売などを経て、2007年5月から米料理研究会を開始。初の試作品は「手軽に食べられる」ことを目的に、飲み物用のプラスチックカップに入った「カップライス」だった。「当時は大学の昼休みが10分しかなくて(笑)。手軽に食べたいという学生の思いがそのまま商品開発につながった」(白戸教授)。7月に学内で限定販売したことがマスコミで取り上げられ、サークルKサンクスの担当者から商品化の申し出を受け、「cupDON」の共同開発、発売へとつながった。同社との共同開発も2年目になり、回を重ねるごとに学生に委ねられる部分も多くなってきている。
ゼミの大きなテーマは「地域活性化」。「今後も、学生には地域住民との交流を通じて、いろいろなことを学びながら、地域を元気にしてほしい」と白戸教授。現在は4年生が中心となり小諸市の食材とまちづくりをテーマにした第4弾も進行中だという。
販売期間は8月12日まで。県内122店舗のサークルKサンクスで販売する。