まつもと市民芸術館(松本市深志3、TEL 0263-33-3800)で4月29日、尺八奏者の藤原道山さんのライブ「藤原道山ライブ~故郷~」と尺八のワークショップが行われた。
ライブ、ワークショップとも昨年に続いて2回目の開催。ライブ前に行われたワークショップは、初心者から経験者まで約40人が参加し、姿勢と声の出し方からスタート。藤原さんの「声が小さいと音も小さくなるので」という説明を聞き、参加者は一斉に「あー」と声を出すなど、基礎を学んだ。
「あくびをするときの口の状態を思い出して、口の中に空気をいっぱい入れるように」と藤原さんが吹き方を説明。参加者は自前の尺八や練習用の「なる八くん」と呼ばれるプラスチック製の尺八を手に持ち、吹いてみるが、初めてでなかなか音が出ない人も。「音を出すまでが大変な楽器なので、最初は鳴らなくて当たり前。自分も1週間はかかった」と藤原さん。その後、楽譜の読み方の説明をし、用意した「かごめかごめ」の1フレーズを全員で演奏した。
質疑応答で、「演奏しながら何を考えているのか」という質問に、「何を…と聞かれると難しいですが…(笑)。言葉を話すのと一緒で、自分がどう伝えたいか、そのためにどうすればいいのかを考えて、自分の感性と一致させる。役者に近いような感じ」と応える藤原さん。それぞれの質問に丁寧に応じ、2時間のワークショップを終えた。
「講演会はあるが、ワークショップの機会はなかなかない」と藤原さん。参加者には、2年連続で参加した人や、昨年のワークショップがきっかけで尺八を始めた人も。「難しい楽器、というイメージがあるが…手にとってもらって、ちょっとでも音が鳴ったときの達成感が次につながると思う」(藤原さん)。「日本の楽器なのにあまり知らないという人が多い。少しでも楽しんでもらえて、身近に感じてもらえれば」とも。
ライブではマリンバ奏者のSINSKEさんをゲストに迎え、「春の海」「さくらさくら」やオリジナル曲など全13曲を演奏。曲の間には、楽器の説明やほかのライブでのエピソードなどを話し、会場は和やかなムードに。SINSKEさんが「(マリンバは)木をたたいているだけ」といえば藤原さんが「(尺八は)竹を吹いているだけ」と答えるなど絶妙なやりとりも。最後は「ボレロ」「アベマリア」などクラシック曲も披露し、観客を魅了した。