学生らによる火星探査機開発プロジェクト「KARURA」を紹介するイベントが4月17日、松本市のICT拠点施設「33GAKU(サザンガク)」(松本市大手3)で行われた。
プロジェクトの共同リーダーで、信州大学工学部機械システム工学科4年の瀬戸晴登さんが登壇。立ち上げた経緯やこれまでの活動、今後の目標について話した。宇宙開発に興味のある学生のコミュニティーとして、ミッションに掲げるのは国や文化に捉われない自由な宇宙開発の実現。宇宙開発がよりグローバルに行われる世界を目指す。5月末からアメリカで開催される火星探査機の性能を競う国際大会「University Rover Challenge (URC)」にも出場が決定しており、同大会の種目やそれに向けた課題についても説明した。
現在、準備している実機も披露。同学部電子情報システム工学科4年の原匠さんが、参加者に動作の仕組みや操作方法を教えた。ゲーム機と同じコントローラーを使っていることもあり、実際に操作をしてみた子どもたちからは「ゲームみたいで面白かった」「自分でもこういうものを作ってみたい」という感想が聞かれた。
遠隔操作で動くアーム部分は、滋賀県にいるメンバーとZoomでつなぎ、デモンストレーションを試みた。思うように動かず、時間がかかる場面もあったが、同学部機械システム工学科4年の廣田智己さんがやりとりをしながら「普段からもこのように、各地にいるメンバーと話しながら、何度も試している」と説明。ふいにアームが動くと、子どもたちは「おおっ」と声を上げ、興味深く見入っていた。
プロジェクトは2022年9月に発足。瀬戸さんが参加した宇宙開発をテーマにしたイベントで出会った5人ほどで立ち上げた。米国にいる共同リーダー・垣内啓邦さんと連携して、おのおのでメンバーや資金を集めるために奔走。現在は、日本・米国・台湾の高校生、大学生、大学院生、約50人が参加し、開発を進めている。
これまで展示会に出展したことはあったが、プロジェクト単独でのイベントは初めて。同施設の阿部航大さんは「子どもたちにとって、ものづくりの入り口になるようなきっかけになればと思い、開催した。信大生が参加する国際的なプロジェクトを、もっと多くの人に知ってもらいたい」と話す。
今後は、アーム部分を輸送し、米国にある本体部分と接続して、大会へ向けテストを重ねるという。瀬戸さんは「1年半、さまざまな困難を乗り越えてきた仲間たちと頑張る。同じ志を持つ世界中の人たちと交流を深め、しっかり結果も残してきたい」と意気込む。