漫画家・手塚治虫さんの代表作を紹介する特別展「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が現在、松本市美術館(松本市中央4、TEL 0263-39-7400)で開催されている。
同作は、医師免許を持たない天才外科医が活躍する医療漫画。1973(昭和48)年、少年漫画誌で連載が始まった当初は4回ほどの予定だったが、読者からの人気が高く、その後5年間毎週掲載された。連載開始から50年の節目を記念した同展は、昨年10月から全国を巡回。松本は2会場目になる。
4部構成でブラック・ジャックの誕生秘話や、個性豊かなキャラクターを紹介。1~4話を含めた7話分は、全ページの直筆原稿を展示する。このうち、週間連載の最終回・第229話は、同館限定の公開だという。「命VS金」「人でないものの命」「ピノコがいっぱい」など、10のテーマでピックアップした「B.J 曼荼羅(まんだら)」と名付けた空間では、拡大した漫画のこまと原稿を並べる。
4月13日には、「ブラック・ジャックと手塚治虫~ふたりの天才の秘密」と題して、長男で手塚プロダクション取締役の手塚真さんが講演。手塚家のルーツが諏訪大社下社の神職であることや、上田市ゆかりの平安時代の武将・手塚太郎光盛(みつもり)を先祖に持つことなどに触れ、「信州で展示ができることは、個人的にも特別な気持ち」と話した。
「どろろ」や「きりひと讃歌」などルーツとなったと考えられる作品や、主人公の髪の色やスタイルなどについても解説。人気の理由の一つには、「1人のキャラクターの中に、善と悪が両方あるところ」を挙げた。
質疑応答では、参加者からプライベートについての質問が寄せられた。真さんは、「週に2日ほどは一緒にご飯を食べていたが、忙しくなるとそれもできなかった」と振り返りながら、旅行のエピソードなどを紹介。最後に、「ブラック・ジャックのアニメは手がけたが、いつか実写映画化もしたい」と語り、会場からは拍手が起こった。
開館時間は9時~17時(入場は16時30分まで)。入場料は、大人=1,500円、大学生、高校生、70歳以上の松本市民=1,000円、中学生以下無料。月曜(祝休日は開館)、5月7日休館。6月2日まで。