「松本 丸の内美術館」(松本市大手3、TEL 0263-33-8168)が松本城南側、外堀大通り沿いにオープンして1カ月が過ぎた。
オーナーで、同じ敷地内に移転した徳田医院の医師・徳田安孝さんが収集した絵画や版画、コラージュなど約100点を展示する。1階は前衛芸術(アバンギャルド)のアーティストの作品を年代順に紹介。洋画家・東郷青児(1897~1978)や、画家・詩人の神原泰(1898~1997)、長野市で育った池田満寿夫(1934~1997)らの作品が並ぶ。
窓から松本城天守を眺められる2階はフリースペースで、展覧会図録などを置く。レコードプレーヤーも備え、音楽を聴きながらコーヒーを飲むこともできる。アートマネジャーを務める妻の優雅さんは「日本の現代美術の魅力に触れ、ゆったりと時間が流れる空間そのものも楽しんでもらえれば」と話す。
安孝さんは、中学・高校時代は美術部に所属。「顧問の先生の『制作する人だけではなく評価する人も美術にとっては大切な役割。収集することも支えになる』という言葉が心に残った」と振り返る。松本市出身の前衛芸術家・草間彌生さんの影響もあり、20代から現代美術作品の収集を始めた。これまで集めた400点に上るコレクションは部屋を借りて保管していたという。
昨秋、市が進める外堀大通りの整備のため、医院を通り北側から南側に移転。併せて、医院と美術館、自宅、中庭を一体的にして「松本三の丸スクエア」とし、本年度の市景観賞の最優秀景観賞を受賞した。今後は、中庭でイベントなども行っていきたいという。安孝さんは「地元の人はもちろん、観光客の皆さんにとっても松本を楽しむスポットの一つにしていければ」と笑顔を見せる。
営業時間は平日=11時~15時、土曜・日曜・祝日=10時~16時。水曜・金曜定休。入館料は大人=1,000円、中高生=500円、小学生以下無料。