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マツモトアートセンターで出身デザイナー4人が企画展 印刷の可能性感じて

(左から)北澤さん、小口さん、北原さん、宮本さん、井出さん、寄藤さん

(左から)北澤さん、小口さん、北原さん、宮本さん、井出さん、寄藤さん

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 芸大・美大受験予備校「マツモトアートセンター」(松本市大手1)で学んだ4人のデザイナーと藤原印刷(新橋)による企画展「拝啓 松本さま」が現在、同センター内ギャラリーで開催されている。

グラデーションの滑らかさを追求した作品

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 同社が「デザインと印刷の可能性を知ってほしい」と、同センター代表・北澤一伯さんに相談して共同企画。同センター出身で、県内外で活躍する4人のデザイナーと作品作りに励んだ。秋には工場見学や市内でフィールドワークを行い、テーマを「松本」に決めた。同社営業部の宮本善太郎さんは「皆さんの挑戦してみたいことに、印刷会社ならではのアイデアを掛け合わせた」と話す。

 松本市出身の小口達也さんは、グラデーションの滑らかさを追求。「通常、色の境目ができてしまうのは分かった上で、ちょっと意地悪なお願いをした」と話す。市内で撮影したという4枚の写真はデジタル印刷機を用いて、「モニターで見るよりもきれい」という出来栄えに。同社のプリンティングディレクターが紙と機械に合わせて調整を重ねたという。

 箕輪町出身の寄藤文平さんは、子どもの頃、最初に名前を覚えた山だという「王ケ鼻」が浮き上がるパターンを考案。鉛筆で描き、「鉛筆の柔らかさと鉛筆以上の黒さを表現したい」とオーダーした。「自分自身の『由来』ともいう場所での展示なので『こういうことができるようになった』ということを見せたいと思った」と寄藤さん。印刷は、ざらっとした質感のタブロという紙に黒と白の2色を使用。コントラストを調整することで、王ケ鼻が際立つように仕上げた。

 松本市内に拠点を置く井出八州さんは、普段はプロダクトデザインを手がけている。「松本と言えば、お城の黒」と、漆塗りをイメージして、何層も重ねることで漆のような表現ができるか挑戦。13色を使って6回印刷し、奥行きを生み出した。

 北原美菜子さんは、あえてエラーを起こした作品を展開。一つの版に複数の色のインクを載せたり、途中で混ぜたりすることで、通常は不良とされる版ずれや色のむらを出し、一枚一枚違う作品が出来上がった。描いたのは自宅から見えるという夕暮れ時の乗鞍岳で、徐々に空が暗くなる様子を表現。「エラーを起こそうと試みたことで、印刷技術の高さを実感できた」と北原さん。

 展示は、工場で紙を運ぶ時に使っているというパレットを使ったり、作品を何枚も重ねて置いて触れるようにしたりと工夫。9日には、4人を招いたトークイベントを予定する。宮本さんは「普段とは違う印刷に挑戦できて、社員も楽しんでいたと思う。印刷の可能性や面白さが伝われば」と話す。

 開催時間は13時~18時。トークイベントは9日15時~16時30分。参加費は1,500円(要予約)。12月17日まで。

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