与那国島を中心に沖縄の手仕事を紹介する企画展「風吹く島のむぬ-与那国島の手しごと-」が現在、「カゴアミドリ松本店」(松本市大手1、TEL 0263-50-4475)で開催されている。
与那国島で活動する3つの工房をメインに取り上げる同展。籠をはじめ、民具や器など、沖縄のさまざまな「むぬ(=物)」を展示する。元々は島に暮らす人々が自作していた日用品で、先人から受け継がれた方法で現在も作られているという。材料は島に自生するクバ、アダン、ソテツ、クージなどの亜熱帯植物。同店の伊藤征一郎さんは「与那国島はじめ沖縄は素材の宝庫。地域に根付いている手仕事を知る機会になれば」と話す。
3工房の一つ「よなは民具」は、主にクバの葉を使った民具を手がける。元々水をくむ道具だった「うぶる(=桶)」、「いもる(=ひしゃく)」のほか、海人(あま)用のかさもあり、物入れや照明などのインテリアとして活用する人が多いという。「やまいとぅ工房」は、竹に似た大型のつる性植物「トウツルモドキ」で編んだ籠などを用意。材料は山に入って採取し、4分の1に裂いてからわたを取り除き、さらに割って細かくしている。「山口陶工房」は、身近な土や木の灰で作陶。シンプルな粉引きのカップや鉢のほか、鳥や与那国馬を描いた愛らしい小皿もある。
竹富島や石垣島など与那国以外の島々や沖縄本島の手仕事も紹介。ソテツで編んだ虫籠や、「フガラ(=ブラシ)」などを並べる。与那国島と東京を拠点に活動する写真家・山崎萌子さんの写真や紙作品も展示する。
同店は昨年3月、松本・城西にオープン。カフェギャラリー「LABORATORIO(ラボラトリオ)」が6月までショップとして運営していた「the BOX SHOP」跡に9月1日、移転した。広さは3分の2ほどになったが、企画展などは引き続き行うという。伊藤さんは「松本店を開いてから、数が多いと改めて感じているものづくりに興味がある人が交流する場にしていきたいし、松本の自然との関わりも深めていきたい」と意気込む。
価格は、うぶる=3,300円~、手さげ籠=4,290円~、カップ=2,500円~など。営業時間は11時~18時。火曜・水曜定休。9月18日まで。