ガラス作家・若色正太さんの個展「sea breeze」が現在、松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で開催されている。
グラスや鉢、皿など中心に、花器、オブジェなど約150点を展示する。「自分が魅力を感じている、ガラスの表情をより面白く見せたい。無機質なガラスだが、どこか柔らかく、温かみを感じてもらえるように、質感や形にこだわっている」と若色さん。
特徴的な青色は、若色さんが昨年4月から勤める富山ガラス工房(富山市)がアップサイクル素材としてブランド化を目指している「リメルト・ブルー」というガラス。制作過程で生じるさまざまな色の廃棄ガラスを煮詰めて蒸留し、再利用できる素材にしている。廃棄ガラスの量を減らす、環境に配慮するといったコンセプトと、透き通ったブルーに引かれて、これまでクリアガラスを使っていた作品にも取り入れるようになった。光の具合で、深い紺色、少しくすんだ青緑色など見え方が変わり、「濃淡や一定ではない色合いが気に入っている」とも。
レースのような模様が入った「brina」は、グラスや小鉢、ボトル型の花器を用意。にかわを塗布して乾燥させ、表面のガラスと一緒にはがすことでアンティーク調の風合いを生み出している。床の間に飾った大型のオブジェ「光と色の表出」は、パーツを複数作って溶着し、大きな塊に造形。表面を削り出し、内部の色が見えるよう、すりガラス状になるまで磨いて仕上げている。同様に制作した手のひらサイズの一輪挿しもある。
若色さんは1997(平成9)年、東京都生まれ。多摩美術大学美術学部工芸学科ガラスプログラム卒業後、昨年3月まで「あづみ野ガラス工房」(安曇野市豊科南穂高)で制作活動を行っていた。同ギャラリーでは2020年11月、ガラス作家3人展に出品。同ギャラリーの瀧沢一以さんは「若色さんは、加飾することでガラス作品の可能性を広げてくれる。ガラスの素材としての面白さを感じてほしい」と話す。
オブジェに花を生けたり、「水たまり」と名付けたオーナメントは窓際に飾って自然光が反射するようにしたりと、展示にも工夫を施す。若色さんは「今回は個展ということもあり、作品数や種類で苦戦したが、自分にとっては大きな挑戦になった。ギャラリーの持つ『和』の雰囲気とガラスが調和した空間になったと思うので、足を運んでもらえれば」と呼びかける。
作品は全て販売する。皿=3,850円~、冷酒杯=4,730円、片口=6,600円など。営業時間は10時~18時。木曜・日曜定休。7月29日まで。