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松本・浅間温泉でガラス作家3人展 さまざまな技法で多彩なガラスの世界紹介

永木さんの手掛ける器は、クリア、アンバー、グレーの3色展開

永木さんの手掛ける器は、クリア、アンバー、グレーの3色展開

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 ガラス作家3人による展示「永木卓・佐藤幸恵・若色正太 ガラス展」が現在、松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で開催されている。

キルンワークという技法を用いる佐藤さんの作品

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 永木さんは2017(平成29)年、松本・庄内にガラス工房「RITOGLASS(リトグラス)」を構え、制作を行っている。グラスや皿、鉢などを中心に、ボトルや花器など約100点を用意。シンプルなグラスや皿は重ねて収納することを想定して作っているという。「吹きガラスは足し算になりがちだが、引き算で考えるようにしている。そんなにたくさんの要素を入れなくても、『手仕事』ということは伝わると思うので」と永木さん。色は、クリア、アンバー、グレーの3種類で、透明なガラスに金属を混ぜる量で、一段階ずつ濃い色にしていく。「もともとクリアとグレーの2色だったが、中間色となるアンバーができたことで幅が広がった。クリア、アンバー、グレーの順でそれぞれの廃棄ガラスを溶解しているので、ゴミも抑えられる」

 同ギャラリーでの展示は初めて。畳敷きで、上から見られるということを考慮し、皿や鉢を多めにした。グラスは横から見てもらえるようにと、棚に並べる。「触って、持って、手に合うかどうかを楽しんでもらえれば」と永木さん。

 佐藤さんはキルンワークという技法を用いたオブジェ約40点を出品。ガラスのほか、金属や陶磁器などを組み合わせて、電気炉に入れて加工している。「残片」と名付けたオブジェは、割れてしまった半磁器を補修するようにガラスを合わせた。ふたのつまみがつぼみの形になっている「蕾(つぼみ)の小箱」は、真ちゅうの針金を入れて焼成。真ちゅうが中で溶けて、黒くにじんだようになったものには、黒やグレーのふたを付けた。佐藤さんは「(黒くにじんだものは)偶然できたもの。さまざまな素材を組み合わせると、思いがけない反応やバランスが生まれるので面白い」と話す。

 若色さんは多摩美術大学美術学部工芸学科ガラスプログラムを卒業し、現在は「あづみ野ガラス工房」(安曇野市豊科南穂高)で制作活動を行っている。カラフルな「seed」や、深い青色の「水たまり」などのオブジェや花器、約30点を用意。透明なガラスに色ガラスの粉をまぶして着色したパーツを組み合わせて造形した塊を研磨して作り上げた作品は、独特な光を帯びる。

 同ギャラリーの瀧沢一以さんは「ガラスというとブロー(吹きガラス)のイメージが強いが、キルンやパート・ド・ヴェール(粉状のガラスを型に流し込んで成形する技法)なども含め、多様で奥深い世界を紹介したかった」と話す。紅葉が進んだ庭と合わせるように廊下に作品を展示したり、落ち葉をディスプレーに用いたりと工夫も施す。「暑い時期だけではなく、秋冬にもガラスは映えるので、楽しんでもらえれば」とも。

 価格は、グラス=3,300円~、皿=4,400円~、「蕾の小箱」=2万800円、「seed」=3万円など。営業時間は10時~18時。木曜・金曜定休。11月29日まで。

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