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松本のパン店「マルショウ」がLINE使う新業態で再出発 低温長時間発酵の味を

実家の台所を改装した工房でパンを焼く百瀬さん

実家の台所を改装した工房でパンを焼く百瀬さん

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 2020年3月に閉店した松本・城西の老舗パン店「マルショウ」が「発酵パン工房マルショウ」(松本市開智3)として6月25日、再スタートを切った。

自家製の発酵種

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 店舗販売はせず、LINEで受け付けた注文分を生産。購入は、同店のホームページなどからLINEのQRコードを読み取り、友だち登録をした後、トーク画面から行う。商品は週1回の販売日に市内開智にある工房に取りに行くか、郵便で受け取る。

 再出発と同時にメニューも一新。パンは自家製の酵母を使い、低温で長時間発酵させた生地を焼き上げて作る。食パン2斤(830円)、ミッシュブロート(820円)、レーズンブレッド(800円)など7種類のほか、セット商品「朝食トリオセット」「ワイン・チーズに合うセット」「サンドイッチ向けセット」の3種類も用意する。元社長の百瀬靖夫さんは「注文された分しか焼かないので食品ロス削減につながっている。長時間の発酵で熟成したパンを味わってほしい」と話す。

 「マルショウ」は、1930(昭和5)年に市内大手で開業。その後、城西に移転し営業をしてきたが、市道の拡張を理由に店を閉めた。

 閉店後も、自分の納得のいくパン作りを続けてきた百瀬さん。常連客や友人に頼まれ、外部の設備を借りてパンを焼くこともあったという。そのパンを食べた「子どもが輝く食育ネットワーク松本」の代表・伊藤麻里さんと林真里さんが、これからも食べ続けたいパン作りの技術を次の世代に継承していきたいと協力して新しい業態を模索。時間のかかる自家製発酵種を使う少量の生産でもパン作りで事業が成り立つように、LINEを使ったネット販売に目を付けた。

 今年の4月には、再開に向け本格的に計画を始動。百瀬さんの実家の台所を改装し、パン作りに必要な機材をそろえて工房にしたり、ウェブ環境を整えたりして準備を進めてきた。百瀬さんがこだわっているという水は、林さんの提案で松本神社の井戸水を使うことにした。林さんは「小学生や観光客が井戸水を飲んでいるところを見て思い付いた。地元の水を使うことで、松本を発信していきたい」と話す。

 「今までの経験を生かし、よりおいしいものを届けたいという思いがある。常に商品のレベルアップを考えている」と百瀬さん。現在、県内産のアンズやリンゴを使ったパンも試作中で、9月に販売予定だという。「お客さまの要望にしっかりと応え、この技術を地域に残していきたい。継承してくれる人も見つかればうれしい」とも。

 次の販売日は30日で、26日17時まで予約を受け付ける。工房での商品の受け取り時間は、15時30分~17時。

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