松本市在住で共に絵本作家でイラストレーターの、まつしたさゆりさんと夫のスズキサトルさんが共作した絵本「からだをうごかすえほん まねっこぴたっ!どうぶつ」が4月に刊行された。
「体を動かしながら大人も子どもも楽しめる」をコンセプトに制作。ゴリラやクマ、アザラシなどの動物と男の子が一緒に行進をした後、「ぴたっ!」というかけ声と共に同じポーズをとって止まる。「ぴたっ!」のページの背景は、それぞれの動物に合わせ、ジャングルや海岸などが描かれている。イラストを担当したスズキさんは「背景の絵は、子どもがよく遊ぶ折り紙などのテクスチャーを使って温かみを出した。行進するページから、『ぴたっ!』のページでいきなり別の世界にトリップするのが面白い」と話す。文章は、同じフレーズを繰り返したり、リズム感のある言葉を使ったりと、歌って読めることを意識。動物が変わり、行進を始める前には「つぎいくよ」などのかけ声も入れ、全体の流れを作った。
コンセプトと文章を担当したまつしたさんは、スズキさんが描いたクマのまねをする男の子のイラストを見て、「これを絵本にできないか」と以前から考えていたという。コロナ禍で自粛生活が続く中、「自分の子どもが小さかった時、家にこもっていたら大変だっただろう」と考え、絵本の制作を決めた。
まつしたさんがラフで全体の構成を決めた後、スズキさんとアイデアを出し合い制作。ポーズが取れる動物を決め、子どもにも分かりやすい言葉を選んだ。スズキさんは日本理科美術協会会員で、図鑑や理科の教材用にリアルな絵を描くことも多いが、「動物や子どもを忠実に描きながら、デフォルメした。子どもたちが手に取ってくれるキャラクターになるよう工夫した」と振り返る。
2人はもともと東京で働いていたが、2013(平成25)年、食物アレルギーのある息子と一緒に、学校給食対応が進んでいたという松本へ移住。同年、初めての共作となる「きょうりゅう」を刊行した。現在はそれぞれ、イラストや書籍を手がける傍ら、ワークショップなどを開催している。
秋には続編も発売予定。まつしたさんは「『夜に読むと子どもが興奮して寝付いてくれない』という声も聞いている。大人と子どもが一緒に歌って遊んでほしい」と笑顔を見せる。
21センチ四方、36ページ。価格は1,210円。