カードゲームでSDGsを学ぶワークショップが4月21日、松本市勤労者福祉センター(松本市中央4)で行われた。
手持ちのカードと「世界の状況メーター」を見ながらプロジェクトを選ぶ
カードゲームを使って、SDGsを達成するための道のりを疑似体験し、本質や概念を学ぶワークショップ。当日は、カードゲームを開発した「イマココラボ」(東京都千代田区)の公認ファシリテーター・山崎悠さんが講師を務め、会社員や農家、ゲストハウス経営者など約20人が参加した。
ゲームは「大いなる富」「悠々自適」「環境保護の闘士」などといったゴールカードの条件を達成するために、「お金」と「時間」のカードを使って、プロジェクト活動を実行していく。例えば、「交通インフラの整備」というプロジェクトには「お金」5枚、「時間」3枚のカードが必要となり、実行後には、「お金」10枚、「時間」1枚のカードに加え、新たなプロジェクトと、やりがいや情熱を表す「意思」のカードがもらえる。さらに、実行することで「世界の状況メーター」が動き、「経済」「環境」「社会」が変化する。
2人1組でチームとなり、前半と後半に分けて実施。最初はよく分からない様子だった参加者も、徐々に要領を得て、ゴールを達成するために必要なカードを見据えて、プロジェクトを選ぶようになっていった。開始時は全て「3」だった「世界の状況メーター」は、中間発表で、「経済」が12、「環境」が6、「社会」が0という状態に。山崎さんは「経済発展はしたが社会整備が全くされていない世の中になってしまった」とコメントした。
後半は「世界の状況メーター」も気にしながら、ほかのチームと交渉してカードを取り引きするチームも多く見られた。終了時には、「経済」が13、「環境」が8、「社会」が6という結果に。5チームがゴールし、SDGs達成率は80%となった。振り返りの時間では、「もっとほかのチームと協力できれば、プロジェクトが実行できた」「周囲とのコミュニケーションが大切」といった声が上がり、山崎さんは「連鎖やつながりということを体感できたと思う。現実でも目標達成のためには、個人や一つの企業、一つの国が頑張っても難しく、協力することが大事」と締めくくった。
山崎さんは昨年11月に公認ファシリテーターの資格を取得。「SDGsという言葉は浸透してきたが、特に地方の中小企業では具体的にどんな取り組みを推進するべきか悩んでいるという声を聞く」と話す。今後はワークショップのほか、SDGsの経営セミナーなども開く予定。「企業内でやってみると、組織内のコミュニケーションの課題なども見えてくる。体感することで、学びを深める人を増やしていきたい」とも。