松本・美須々の長野県護国神社(松本市美須々)に現在、干支(えと)の「寅(とら)」にちなんだトラの大絵馬が飾られている。
絵馬の大きさは縦2.3メートル、横3.7メートル。松本美須々ケ丘高校(同)美術部の1年生と2年生、8人が制作した。描いたのは2頭のトラ。1頭は顔の右半分はモノトーン、左半分はピンクや赤、紫、青などを使ったカラフルな迷彩柄、もう1頭は開いた口からクリスタルをモチーフにした牙が見える。
夏休みに部員それぞれが考えたデザインの中から、1年生の磯貝幸太朗さんの案を選んだ。当初は、黄、白、黒などを使うことを想定していたというが、偶然見た動画で色覚多様性について知ったことで方針を変更。「自分がトラの色=黄色と白に見えているとしても、ほかの人がそうとは限らない。見え方は人それぞれ違うという思いを込めた」と磯貝さん。
部員が交代で同神社の弓道場に通って作業を進め、およそ2カ月で完成させた。部長で2年生の金沢菜月さんは「今までにない取り組みだったが、1年生と一緒に頑張った」と振り返る。
大絵馬は昨年まで市内のイラストレーター・古荘風穂さんが担当。今年は同神社の近くにあり、古荘さんの母校でもある同校の美術部に依頼したという。
12月22日には除幕式が行われた。絵馬が披露されると感嘆の声が上がり、一緒に写真を撮る参列者の姿も見られた。美術部顧問の藤原清華教諭は「夏休み明けは新型コロナの影響で休校になったこともあり、開始が予定より遅れたが、皆が協力して仕上げてくれた。見た人が新しい年を力強く元気に過ごしてもらえれば」と話す。