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松本の書店で作家・伊津野果地さん個展 大切な価値観「驚嘆と放浪」

「しろおじさん」「青い毛むくじゃら」など、ユニークなタイトルがついた作品も

「しろおじさん」「青い毛むくじゃら」など、ユニークなタイトルがついた作品も

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 安曇野市在住の作家・伊津野果地さんの個展「WONDERERS AND WANDERERS III 驚嘆と畏(おそ)れと放浪の話」が現在、松本・元町の書店「本・中川」(松本市元町1、TEL 0263-33-8501)で開催されている。

短い言葉と絵でつづる小さな絵本「ねことくらすのはどうだろうか」

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 水彩画や木工のオブジェ、絵本、ポストカードなど約70点を展示する。水彩画は、カラフルなものから落ち着いたモノトーンのものまで多彩に表現。「タイトルから思い付き、絵のイメージが出来上がる」という。つるつるとした質感の作品は、木の板に和紙を巻き、専用の下地材や絵の具を塗り重ねた上に、紙に描いたイラストを貼り、表面をコーティングしている。

 作・絵を手掛けた絵本「ねことくらすのはどうだろうか」は、3月に開催した東京・西荻窪のギャラリー「ウレシカ」での個展に合わせて制作した。短い言葉と絵でつづる小さな本で、「猫だけではない、猫の話」と伊津野さん。「絵本を制作する前に序章として作った」という猫のオブジェも併せて展示する。

 伊津野さんは愛知県出身。大学在学中に「美術の勉強がしたい」と画材の本を買ったり、版画を作ったりするうちに、そのまま本業になったという。2006(平成18)年には、ボローニャ国際絵本原画展で入選。立体や水彩画、絵本・挿画の分野で活動しながら、東京を中心に多くの展示会に出展している。松本での個展は初めて。

 同展のタイトルは、10年前に行った個展と同じもの。「WONDERERS」は驚き感嘆する人たち、「WANDERERS」はさすらう人たちや、織物を織る、巻くという意味を持つ。「さまざまなものに出合って驚きたい、ふらふら移動して驚きや畏れの感情を織り成していきたいという価値観をずっと持ち続けている」と伊津野さん。今後は小さい話集や挿画に力と入れたいと意欲を見せる。「今は情報が出る時間が短く、一つ一つの出来事に驚くことができない。コロナの影響で気軽に外に出掛けることもできない状況が続くが、(同店の店主)中川さんと出会い、ここで展示会ができてよかった」とも。

 価格は、水彩画=1万2,000円~、彫刻=3万8,000円~、絵本「ねことくらすのはどうだろう」=1,540円、ポストカード=165円など。営業時間は12時~18時(金曜・土曜は19時まで)。月曜・火曜定休(9月20日は営業、22日は休み)。9月26日まで。

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