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松本・浅間温泉で越孝夫さん個展 削り、磨き、「無駄な時間をかけた」器250点

大小さまざまな花器が並ぶ

大小さまざまな花器が並ぶ

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 東御市在住の造形作家・越孝夫さんによる個展「容づくるウツワ」が現在、松本・浅間温泉の「手仕事扱い処(どころ)GALLERYゆこもり」(松本市浅間温泉3、TEL 0263-46-2066)で開催されている。

大小さまざまな形の花器

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 花器を中心に、皿やカップ、抹茶わんなど約250点を展示する。大小さまざまな形の花器は、ひも作りでベースとなる形を決めて乾かし、粗さの異なるやすりで削ったり磨いたりしてから焼成を繰り返す。越さんは「無駄に時間がかかる」と言うが、「日常では、効率化、利便性などを求められることも多いが、人間の営みは無駄も大事。スピードからは逃げるようにして制作している」と笑顔を見せる。金属のような質感は、鉄の粉や銅の箔(はく)、銀粉などを用い、磨き方によってマットにしたり、光沢を出したりしているという。

 カップや皿は、同展に合わせて制作した。皿は、厚みのある高皿のほか、平らな丸皿、角皿なども用意。やすりで磨き上げて仕上げ、「銀彩」「白彩」「黒釉」のほか、「大理石風」と名付けたものもある。

 越さんは1955(昭和30)年、長野県高山村生まれ。信州大学教育学部に在学中は、彫刻のほか、鋳造も学び、諏訪湖国際彫刻シンポジウムに参加するなど、制作活動にいそしんだ。長年、石彫を中心に、鋳金、版画など幅広く手掛け、15年ほど前から独学で陶芸も始め、グループ展や個展などに出展している。

 同ギャラリーでの展示は初めて。初日の4日には、花人・山本郁也さんが花を生けた。「やはり、花を生けてこそ良さが出る」と越さん。今後も「自分の納得する形」を追求していきたいという。「若い頃は、自分をどう出していくかを考えていたが、いつしかそれは必要ないと思うようになった。ただ、作品と向き合い、『うるさくない形』を求めていきたい」とも。

 作品は販売も行う。花器=5,000円~、カップ、皿=2,000円~など。営業時間は10時~18時。木曜・金曜定休。9月26日まで。25日・26日は越さんが在廊を予定する。

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