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安曇野で企画展「白黒つけようぜ。」 墨の絵、オブジェ、クロッキー画で

「以前、使っていたこともあるので再出発の意味も込めて墨を選んだ」と北山さん

「以前、使っていたこともあるので再出発の意味も込めて墨を選んだ」と北山さん

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 画家・北山亨さんと芸術家・成瀬憲子さんの2人展「白黒つけようぜ。」が現在、安曇野の画廊「Banana Moon(バナナムーン)」(安曇野市穂高有明、TEL 090-4819-9878)で開催されている。

日常を描きとめたようなクロッキー画

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 同ギャラリーは、「週刊新潮」の表紙絵を手掛けるなどしている画家・成瀬政博さんが私設美術館として2004(平成16)年に開館。1年間の休館を経て、昨春リニューアルオープンした。昨年は通年で北山さんの作品を展開。1996(平成8)年から創作活動を始めた北山さんが、途中、筆を止めたりしながらも変化を続けてきた様子を「鬱(うつ)の時代」「躁(そう)の時代」などとして年代ごとに振り返る企画を4期構成で行った。

 北山さんは今年8月に開催したグループ展に参加。「少し消化不良のようなところもあり、今、この時代だからできるものをもう少し表現したかった」と「延長戦」として同展を企画した。政博さんから壁全体を使うことを提案されたが、自分一人の作品だけだと広すぎると考え、政博さんの妻で、絵画やオブジェなど多彩に手掛ける憲子さんの作品を合わせることにした。「底辺に流れているものが、自分の作品とどこか似ていると感じていた。モノトーンのオブジェと墨の絵で白と黒。『白黒つける』という言葉もちょうどはまった」

 北山さんが和紙に墨で描いた作品は15点。濃淡やにじみが表情を生み出している。「墨は修正できないし、一気に描き上げるからこそのダイナミックさがある。描いていて気持ち良かった」。憲子さんの作品は、粘土で作ったオブジェ3点とクロッキー画25点。オブジェはたくさんある中から、北山さんが3点に絞ったという。クロッキー画は、自画像や家族、家の周辺の風景など日常をモチーフにしたもの。「クロッキー画は搬入時に初めて見た。家事の合間に日々描いていたもので、憲子さんにとって芸術は生活の一部なんだとあらためて感じた」とも。

 この1年を振り返り、「これまでやろうとしていた表現は違うのではないか、と立ち止まるきっかけになった」と北山さん。例年12月は冬期閉館となる時期だが、「『延長戦』をしたことで、夜明け前のような、先に光が見えるところまで来られたように思う」と笑顔を見せる。

 営業日は金曜~日曜。営業時間は13時~17時。12月20日まで。

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