茅野市に「鴨工房」を構える鴨瑞久さん・暁子さん夫妻の陶展「鴨工房のうつわと小さな置物と…」が現在、松本市のギャラリーカフェ「Gargas(ガルガ)」(松本市深志3、TEL 0263-39-5556)で開催されている。
皿やマグカップ、小鉢など器のほか、車の小さなオブジェやブローチなど、約350点を展示する。今回は瑞久さんの作品を中心に紹介。ぽってりと丸みのあるシンプルな形の器は、白や紺、ブルーグレーで、質感や色にこだわっているという。愛嬌(あいきょう)のある表情が特徴の、魚やタコ、ワカメなどをモチーフにした魚類のプレートもある。
車のオブジェは、箸置きやマグネットなどに使えるプレートやブローチのように平面的なものと、ミニカーのように立体的なものを用意する。瑞久さんは特に70年代のフランス車が好きで、写真を見ながら絵を描いて型紙を作り、板にした粘土を切ったり、抜いたりして作り上げる。「器は昼間の仕事、夜は趣味の時間として車を作っている感じ」と笑顔を見せる。
車を作り始めたきっかけは、会社員時代から乗っていたフランス車のシトロエンを、独立した後に手放したことにあるという。「ずっと後悔をしていたが、あるとき陶器で作ってみようと思って。趣味の延長線のつもりだったが、イベント時に飾っていると評判が良かったので、徐々に数も種類も増やしていった」と話す。
ガレージのような建物や、屋根付きの家、小さな人形なども制作。車を並べるために作ったガレージに、屋根を付けて家ができ、さらに家の中のインテリアも作るようになった。「作りたいものを衝動的に作っているのかもしれない。心の反応が作品になる」と瑞久さん。
瑞久さんは茨城県笠間市で陶芸家・酒井芳樹さんに師事し、2003(平成15)年に独立。暁子さんの両親が長野県に移住していたこともあり、2016(平成28)年、茅野市に工房を構えた。夫婦で作陶するほか、陶芸体験なども行っている。瑞久さんの友人が、10年ほど前に車のオブジェを同ギャラリーに贈ったことが縁となり、昨年、初めて訪れ、展示をすることになった。
会期中は週1回在廊し、シトロエン・2CVの制作工程を見られるリレー制作展示を行っている。作品は約20分の1のサイズで、どのように作っているのか、どんな部品があるのかを紹介。車好きの人が訪れ、会話が弾むことも多い。「車の話をすると止まらなくなってしまう。とにかく楽しい」とも。
価格は、マグカップ=2,200円~、車のプレート=550円、ブローチ=880円など。営業時間は11時~19時。会期中の休みは9月23日~25日。9月27日まで。瑞久さんの在廊は20日・27日を予定する。