松本に縁のある染色家・柚木沙弥郎さんの企画展「柚木沙弥郎のいま」が現在、松本市美術館(松本市中央4、TEL 0263-39-7400)で開催されている。
年代ごとの多彩な作品、約80点を展示する。2000年代までの作品を紹介する「軌跡」、染色以外の絵や版画、松本とのゆかりの作品が並ぶ「多彩な表現」「松本と柚木沙弥郎」、2010(平成22)年以降の作品を展示する「いま」の3部構成。天井からつるした型染や注染の作品は、幾何学模様や、大胆な柄など幅広い。
昨年手掛けた水彩画の「鳥獣戯画」は、幅約12メートルという大作。同館学芸員・武藤美紀さんは「最初はパネル作品だったが、原作のイメージを表現したいと現代の絵巻物として完成させた」と話す。松本の老舗菓子店「開運堂」の広告や、カレー店「たくま」のメニューや包装紙、旧制松本高等学校や開智学校を描いた水彩画も。
柚木さんは、1922(大正11)年東京生まれ。1940(昭和15)年、旧制松本高等学校に入学して2年間を松本で過ごしている。戦後、大原美術館(倉敷市)に勤務した際に民芸運動に出合い、染色家・芹沢銈介の型染めに感銘を受けた。その後、20代半ばから染色家としての活動を開始。97歳となった現在でも制作を続けている。柚木さんは、母校の近くでの展示に「私にとっては夢のようで、松本の皆さんに感謝します」と思いを寄せる。
同館は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月4日から休館。作品を配置したまま、約2カ月、見てもらえない状態が続いていた。5月26日から、予約制で企画展のみ公開。今月2日から入り口での検温やマスク着用など感染予防を徹底して開館している。同展は6月7日までだった会期を1カ月ほど延期して開催する。
開館時間は9時~17時。入場料は、大人=1,100円、大学高校生・70歳以上の松本市民=700円。月曜休館(祝日の場合は翌日)。7月12日まで。