松本・美須々の長野県護国神社(松本市美須々6)に、干支(えと)の「子(ね)」にちなんだネズミの大絵馬が飾られている。
市内のイラストレーター・古荘風穂さんが描いたのは、干支にちなんだ12匹のネズミ。扉の奥にあるたくさんの宝には見向きもせずに飛び出し躍動する姿は、扉の外でスポットライトを浴びたように金色に輝く。「生き生きと美しく輝く時間を表現したい」と何度も筆を重ねたという。
テーマは「尺璧非宝(せきへきひほう)」。尺璧は直径が1尺(約30センチ)ほどある宝石のことで、それだけ大きい宝石も、時間に比べるとたいしたことはないという意味を持つ。「楽しいこともつらいことも全て含めて過ごした時間は『持ち物』。大切に使うべきだが、固執することなくこれからに生かして、どのように今日一日を過ごすかを大事にしたい」と古荘さん。
絵馬の大きさは縦2.3メートル、横3.7メートル。古荘さんが同神社の絵馬を描くのは10年目で、毎年11月中旬から3週間ほどかけて制作する。
12月22日には除幕式が行われた。絵馬が披露されると感嘆の声が上がり、一緒に写真を撮る参列者の姿も。古荘さんは「ネズミは繁栄のシンボルなので、たくさん描いた。明るく豊かな気持ちになって新しい年が『自分を楽しむ時間』になれば」と笑顔を見せる。