松本のシンクタンク・NPO法人「SCOP」(松本市中央2)、松本山雅FC(並柳1)、信州大学(旭3)、政府系人材サービス会社「日本人材機構」(東京都中央区)の4者が「信州100年企業創出プロジェクト」を本格始動する。
主に首都圏などで活躍する人材に、学びの場とこれまでの経験を生かせる場を提供するとともに、地域企業の課題の一つとされている「中核人材」の不足を解消することを目的としたプログラム。参加者は、信大の客員研究員(リサーチ・フェロー)として10月から半年間、週4日程度は受け入れ企業で実践的な研究や事業活動を行い、週1日以上は信大で学ぶ。
信大は、社会人があらためて就労に生かすために学び直す「実践型リカレントプログラム」を用意。日本人材機構は、参加者の確保のためのネットワークやノウハウを提供する。昨年度は受け入れ企業として2人を採用した松本山雅は本年度から参画。地域企業との関係性を生かして、人材と企業をつなぐ役割を担う。
昨年度は中小企業庁のモデル事業として実施。8社9人をマッチングし、そのうち7人はその後、企業と契約を結んだという。大学を核に、実践型リカレント教育と地域企業の課題解決・持続的成長に取り組んだプロジェクトは注目を集め、事務局総括を担うSCOPは、他県でも類似プログラムを展開。鷲見真一理事長は「中核人材不足は地方共通の課題。このプロジェクトが一つのモデルケースとなり、多くの地域で取り組みが進めば」と話す。本年度からは、受け入れ企業から対価を受けて「自走」する形をとり、持続的な仕組みの構築を目指す。
30日には、サンプロアルウィン(神林)でコンソーシアムを組織する4者の代表が記者会見を行った。松本山雅の神田文之社長は、現在、スポンサー契約を結んでいる約700社について「中核人材のニーズがあると感じている。地域への恩返しの一つとなるのではないかと考え、今回加わることにした」と説明。「地域を元気にする」というクラブの原点にも触れ、「地域の『ハブ』として力になりたい」と話した。信大の濱田州博学長は「プロジェクトが継続することでネットワークが構築されれば、地域活性化にもつながる」と期待を寄せた。
現在、参加者と受け入れ企業を募集している。申し込み、問い合わせはホームページで受け付ける。